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菩薩部(観音)と題しましたのは、観音菩薩が大乗仏教を代表する菩薩でありまして、後の密教においてこの観音の変化身が次々と生み出されたため、観音と菩薩を区別して考える事もあるからです。
では、観音を見ていきましょう。 |
聖観音(しょうかんのん) |
前述しました、観世音(かんぜおん、略して観音)菩薩の事です。
変化しない本来の姿の観音の事です。「聖」の字は「正」なのです。 ところで、オバケのQ太郎に登場する男の子は「正ちゃん」じゃなかったですかね。(違ったらごめんなさい) とすると、オバケという「闇」に対する「聖」ですか。 さすが藤子不二雄先生、奥が深い。小生、感服致しました。 ちなみに、観自在菩薩ともいいます。
この観音を説く経典は、観音はその性格から3つに分ける事が出来ます。
ここで話は大きく変わりますが、今、「かんのん」と打とうとして「かんなん」と打ってしまいました。
今ふと気付きましたが、ここは仏像のページでした。
観音の残り2つの性格でしたね。
最後は密教系の観音で、胎蔵界曼陀羅の観音院(大日如来達のいた中台八葉院の左側)に位置する観音です。
ちなみに、法隆寺にある、悪夢を良い夢にしてくれる、夢違(ゆめたがい)観音も聖観音です。 |
十一面観音(じゅういちめんかんのん) |
頭頂に十の顔を持っており、本体の一面と合わせて「十一面」というわけです。
前の観音信仰の中でヒンドゥー教の影響を受け、最も早く変化した観音です。 何故十の頭を戴いているかというと、観音の「あらゆる方向(十方)に顔を向けたもの」という能力をあらわしたものといわれています。 この十一面には各々性格がありまして、正面三面が慈悲面、左三面に瞋怒(しんぬ)面、右三面に狗牙上出(くがじょうしゅつ)面、後に暴悪大笑面、頂上に阿弥陀仏面となっています。 それにしても、暴悪大笑面。暴悪大将かと思ってしまいました。とても悪そうです。 いや、そうではなく私の頭の方が悪そうですね。反省します。反省だけなら猿でも出来たのはいつの話でしょうかね。 なお、胎蔵界曼陀羅では、本面左右に各一面、その上に五面、三面と重ねた四臂(腕四本)像であらわされています。
世の中には八方美人なる美人が多数存在しますが、この十一面観音の前では全て見透かされてしまうでしょう。
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不空羂索観音(ふくうけんじゃくかんのん) |
「大海に漂う衆生を大悲の羂索(つな)によってことごとく救済してもらさない」という意味の名を持つ観音様です。
十一面観音の次にあらわれた変化観音です。 像容は多種多様ですが、日本では一面八臂が多く見られます。 また、額には、縦に一目あり三つ目となっております。これはヒンドゥー教のシヴァ神の影響といわれます。 三つ目と言っても通りません。かといって、天津飯でもありません。 意味のわからない方、ごめんなさい。さしたる意味はないのです。 ちなみに、福岡県太宰府市にある観世音寺の高さ5メートル17センチ、金色の不空羂索観音(重文)は、十一面観音形をなしています。
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千手観音(せんじゅかんのん) |
千本の手と、その手に一眼、千個の眼を持った観音様です。
正しくは「千手千眼観自在観音(せんじゅせんげんかんじざいかんのん)といいます。 子供の頃、数人でぴったり縦1列になり、それぞれ手を別に動かして「ほ〜ら、千手観音」とかやりませんでした? そうですか、やりませんか。先生ちょっぴり悲しいです。 この千の手と眼をもって、一切の衆生に手を差し延べて救うといわれ、慈悲の働きが無限である事をあらわしています。
さて、千手観音といえど、その像容に1000本の手を配した像は極めて希で、大抵は四十二臂につくられます。
電卓を取り出したついでにもうひとつ。
そろそろ千手観音に話を戻します。
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馬頭観音(ばとうかんのん) |
「さあ今週も笑点の時間がやって参りました。司会の円楽です、どうぞ宜しく。」
違います。 よく見て下さい。馬頭であって馬面ではありません。 早合点しては困ります。早合点しているのは私ですか。それは困りました。 読んで字の如く、頭上に「馬頭」を戴く変化観音です。
信仰の対象としては、六観音の一つとして畜生道に配され、庶民信仰を集めています。 像容の基本は、憤怒の形相をとり、三面六臂、頭上に馬頭を戴き、正面には化仏をあらわします。 |
如意輪観音(にょいりんかんのん) |
如意宝珠(にょいほうしゅ)および法輪によって一切衆生の願いを叶えてくれる観音です。
如意宝珠とは、思いのままに物を出すといわれる珠の事です。 はあ、まるで四次元ポケットのようでありますなあ。 ご存じない方に説明しますと、四次元ポケットとは、思いのままに物を出すといわれる袋の事です。 しかし、四次元ポケットは思いのままとはチト違いますね。 こちらは、ラーメンのどんぶりやらいらない物が多数出てきますから。 え、四次元ポケットの出典ですか? もちろん、我らがヒーロードラえもんですよ。 いやあ、近頃の漢字変換ソフトはたいしたもんです。「ドラえもん」が一発変換されます。 真面目に話を聞いて下さっていた方にはごめんなさい。 さて、仏法界のドラえもん、如意輪観音ですが、通常は一面六臂の坐像であらわされます。
この観音のさらなる特徴は、片膝を立て、右手を頬に当てて、物思いにふける(思惟)姿です。
今回は「ドラえもんにおける如意輪観音の傾向と対策」をお送りしました。
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准胝観音(じゅんていかんのん) |
「七倶胝仏母(しちぐていぶつも)」、「准胝仏母」ともいい、母の字の示すように、無数の諸仏の母といわれております。
六観音の一つとして信仰される事もありますが、観音部、仏部にいれるかは説がわかれています。 しかし仏母の本来の意味からして、「女尊」グループに入るとの見方もあります。 像容は、一面三目十八臂が普通ですが、三十二臂、八十四臂像などもあり、千手観音と間違えられる事もあります。 |
六観音(ろっかんのん) |
台密では、「聖観音」、「十一面観音」、「不空羂索観音」、「千手観音」、「馬頭観音」、「如意輪観音」を総称していいます。
東密では、「不空羂索観音」の代わりに、「准胝観音」が入ります。 |
毘倶胝観音(びくちかんのん) |
毘倶胝というのは怒った時のシワという意味です。
観音が額にシワ寄せて怒った末に生じたのがこの毘倶胝観音です。 なにかと怒るような事が多い現代では、幾多の毘倶胝観音が生まれているのでしょうかね。 日本での独尊信仰はありません。 |
葉衣観音(ようえかんのん) |
この字を見て私は「はごろも」だと思っていました。
正しくは「ようえ」です。「はごろも」は「羽衣」ですね。 「葉」ですと、天女の羽衣を見つけた時には虫食いだらけということになりかねませんね。 さて、この葉衣観音は独尊信仰もなく、像容も異説あるので詳しくは述べません。 文頭の話を行数稼ぎとは言わないで下さいね。 |
白衣観音(びゃくえかんのん) |
観音中、もっとも女性的な優しさを持つのが、この白衣観音です。
そこから、息災除病、救児、安産の本尊ともされます。 曼陀羅上での姿は、左手に未開蓮華、右手に揚掌などの一面二臂、もしくは三面六臂像であらわされます。 この他、儀軌を離れたものとして、自然景の中に描かれたり、床の置物として表現される事もあります。 白衣観音と聞いて「どっかで聞いた事があるなぁ」と思った方は、少し前の少年ジャンプ通ですね。
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揚柳観音(ようりゅうかんのん) |
薬王観音ともいわれます。
後述する三十三観音の筆頭で、衆病消除の信仰を持ちます。 像容は「右手に柳枝を持ち左手を乳上におく」らしいです。 |
多羅菩薩(たらぼさつ) |
商店にて。
「これ幾ら?」「ううん、タラちゃん。」 ・・・・・いえ、全く意味はないです。 多羅は観音の眼から放つ光明より生じたとされる眼精(眼力、眼の力)という意味です。
胎蔵界曼陀羅ではその像容を中年の女天のように表現するのですが、なにゆえ中年なんでしょう。
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青頸観音(しょうきょうかんのん) |
読んで字の如く、青い頸(くび)を持つ観音です。
この名はヒンドゥー教のシヴァ神が大洋を乳海とするため毒を飲んだ所、首が腐り青黒くなったことに由来します。 首が腐るなんてとてもホラーです。せめて首を治してから観音になって欲しかったものです。ホント最近の若い者は・・・・ブツクサ |
阿麼提観音(あまだいかんのん) |
そういえば、「アマダイ」の表記で売られていた魚は「キングクリップ」という外来魚だったそうですね。
その他には、「ギンムツ」はチリ産深海魚「メロ」、「スズキ」と名乗った「ナイルパーチ」、「クロカンパチ」は「スギ」、など経歴詐称(?)の魚はいっぱいあります。 その「アマダイ」とはなんの関係もない阿麼提観音の登場です。 でも、「キングクリップ観音」というのも格好いいですね。 この観音の最大の特徴は白獅子に乗っている事です。
像容で左手に摩竭魚(まかつぎょ)という魚を持っているのですが、案外これが「キングクリップ」なのかもしれませんね。 |
水月観音(すいげつかんのん) |
「すいがつかんのん」と読んでも構いません。
水中の月を眺める姿にあらわされる観音様です。 古くより画題として描きあらわされているようです。 水月と聞いて「みぞおち」と読んだ方、貴方は格闘技通ですね。
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魚籃観音(ぎょらんかんのん) |
昔、ある所に魚商(さかなうり)の美女ありけり。
街に入りては魚を売りつつ、万の事に使いけり。 名をば、観音の化身となん言いける。 いや、名前が「観音の化身さん」という訳では無いですけど。
余談ですが、ご存じの通り、上の話は「竹取物語」をもじったものですが、学生時代「名をば、さかきのみやつことなん言いける。」を「名を、ばさかきのみやつこ・・・」と読んだ友人がいました。
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馬郎婦観音(めろうふかんのん) |
昔、ある所に馬商の美女・・・・・違います。
馬を売っていた訳ではありません。 上記の魚籃観音と同様、魚商をしていた美女が観音の化身であったという伝説から派生した観音です。 おや、では名前の「馬」はなんでしょう? これはこの美女が「馬氏」に嫁いだからなのです。 ということは、「野」さんに嫁いでいたら「野郎婦観音」になっていたのでしょうか。 男か女かわかりませんね。 おっと、観音はもともと中性でした。 |
三十三観音(さんじゅうさんかんのん) |
法華経に説く、観音からの三十三の変化身をもとにした観音達です。
ざっと名前のみ紹介します。 揚柳観音(ようりゅうかんのん)、竜頭観音(りゅうずかんのん)、持経観音(じきょうかんのん)、
注目は、蛤蜊観音(こうりかんのん)ですね。
ところで、不二観音(ふにかんのん)と聞いて、「ふ〜じこちゅわ〜ん」とか思ったのは私だけではないはずです。 |