錯乱した隠遁者 ブーゲンブ村home

・オリジナルエキスパンション「HIMUKA」解説

 さすがに、このエキスパンションは、ローカルな話題を題材にしているので、解説が必要でしょう。
で、主なカードの解説をここでやってみます。全部は大変なので、主なものだけです。
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いもがらぼくと
「いもがらぼくと」というのは、宮崎県の民謡に歌われている言葉で、「♪貰ろた貰ろたよいもがらぼくと、日向カボチャのよか嫁女」と歌われていますので、どうやら嫁に言った女性のことのようです。ここでは、宮崎県の県民性「よだきい(きつい、面倒くさいという意味)」という状況を、アンタップしないことで表現してみました。

シーリング
これは、どちらかというと役所で予算を決めるときの言葉で、簡単に言うと「前年度と同じくらいの予算を今年もつける」という意味の言葉だと思ってください。そうすると、前年度に予算が余ってしまうと、翌年度の予算編成の時、「この事業にはこんなにお金は必要ない」と判断され、予算が減らされてしまうんです。これを張られたときに、無理矢理マナを使い切ろうとするプレイヤーの姿勢は、ちょうど年度末に予算を使い切ろうという役人の姿勢にそっくりになると思います。

水利権
宮崎では渇水はあまりないのですが、水争いというのは、ずっと昔からあって、昔は水のために殺し合いまであったそうです。いつしか、この水利権というのは、絶対不可侵の権利として、渇水で市民が水が無くて困っているときでも、この水利権のため田畑には有り余る水が供給されるという、おかしな状態にまでなってしまっています。
現在も、将来も、この異常な農業水利権をうち砕くことは不可能でしょうが、このカードでは、そういう理不尽さを表現してみました。これを張ってゲドンを打ったときの凶悪さを味わうと、そのへんの事情が分かると思います。

クマタカ
なんで、「HIMUKA」にクマタカが入っているかというと、ある場所で発電用のダム建設のときに、クマタカの生息地を脅かすという理由で、問題になったことがあるからです。森林がないと絶滅してしまうといわれているクマタカの生態を、このカードでは表現してみました。

最南端の雪男
実は、南国宮崎にもスキー場があります。日本最南端の五ヶ瀬スキー場です。そこで、その最南端のスキー場にちなんで、「最南端の雪男」を登場させてみました。雪男らしく吹雪を吹くことができる(+1/0の修正)のですが、なにせ最南端なもんだから、1ターンに1回しか使えないという迫力のないものになってしまってます。

海幸彦・山幸彦
日本神話に登場する「海幸・山幸」の舞台となるのが、ここ宮崎県です。カードでは、海幸彦を青、山幸彦を緑とし、対抗関係を明確に表現しています。また、山幸彦が最終的に海の女神の力を借りるストーリーになっているので、山幸彦は青のクリーチャーによって+修正がつくようにしています。
 ただ、個人的には、昔国語の教科書で読んだ戯曲(?)のストーリー(最後には両者が仲直りする)の方が好きですね。なにせ、この二人は実の兄弟なんですから。

黄金の瀬
これは、日向灘(宮崎県の沿岸の海)にある、魚がたくさん捕れると言われてきた場所の名前です。その名のとおり魚トークンがどんどん出ますが、あまり出しすぎると資源が枯渇してしまう。そういうことをカードで表現してみました。

メダカ
じつは、本物のメダカというのは、いま数が激減しているのだそうです。私たちがメダカだと思ってみている小さな魚は、実はフナの子供だったりするんです。ここでは、その絶滅寸前のメダカの叫びをカードにしてみました。作ってみてかなり凶悪だったので、(これが出てると実質上攻撃できなかった)通常の方法では戦闘ダメージを受けないように修正しています。

はにわ
「HIMUKA」では、黒のクリーチャーとして、「はにわ」クリーチャーが登場します。「はにわ」だけに出土した方が価値があるということで、墓地から出てきたときに+1/+1カウンターが載るという共通点を持っています。このエキスパンションは、はにわデッキを組めるだけのはにわ関連カードを用意しています。

畜産廃棄物
宮崎では畜産も盛んなんですが、畜産の廃棄物(要するに家畜の糞尿)が、恐ろしい方法で処理されているのを目の当たりにしたので、こんなカードを作ってみました。畜舎がある付近の川は要注意です。雨が降ったときに、雨に紛らわせて、これらの廃棄物を垂れ流す業者がいますから。

保安林解除
宮崎で日本第1号の鳴り物入りで開業したシーガイア。結局破綻してしまいましたが、このシーガイアの実現に大きな役割をしたのが、この「保安林解除」です。県知事が元林野庁長官だったということもあって、あの膨大な保安林の解除が実現したんですね。

利権団体
宮崎のような田舎で経済力の弱い県は、国からの補助金を貰って公共事業をやることで、潤う人がけっこういます。そのため、結構無理矢理に、無計画に公共事業が行われてますね。それは長い目でみると県のためにはならないと思うのですが。そういう状態をこのカードでは表現しています。県土を食い物にして自分だけ太る。そんな感じを感じ取って欲しいと思います。

家型子持埴輪
これは、宮崎県の西都原古墳群から出土した、国宝級の家型のはにわです。ここでは、はにわをサポートするエンチャントとして表現しています。もう時効でしょうが、昔、この埴輪にこだわるあまり、宮崎駅をこのデザインにしようという動きがあったようです。

よだきんぼ
宮崎の代表的な方言「よだきい」。これは、きついとか面倒くさいとかいう意味ですが、この「よだきい」を連発する人を、「よだきんぼ」といいます。このカードは、呪文や能力によってアンタップさせようとしてもアンタップしないという意味を含んでいます。(「ぐるぐる(7th他)」でもアンタップできない)。

岩戸とばし
宮崎の神話の中で、太陽の神アマテラスオオミカミが、天の岩戸に閉じこもってしまい、世界が真っ暗になってしまうという話があります。そのとき、アマテラスオオミカミを岩戸から引きずり出そうとして舞われたのが、いわゆる「神楽」です。アマテラスオオミカミが岩戸を少し開けた隙に、スサノオが岩戸をこじ開けて、遠くに投げ飛ばした(岩戸の着地先は長野県付近といわれている)という話になっています。このカードは、アーティファクト版「命知らず(UD)」といった感じのカードになっています。

霧島の鹿
これは、霧島の近くで山腹に植えた草を鹿に全部食べられて、山肌を丸裸にさせられたという、筆者の経験から作っています。結構面白いカードだと思います。

中傷する候補者
昔から、宮崎は「大臣は落ちるお国柄」と言われていて、現職の閣僚を選挙で何回か落選させています。このときに活躍するのが、この「中傷する候補者」です。選挙中、一般人は候補者を中傷するようなことは言えませんが、自分が候補者になってしまえば、対戦相手の悪口を好きなだけ言うことができます。
なお、このテキストでは、「クリーチャー1体を選び」と書いてありますので、呪文や能力の対象にならないクリーチャー(ブラストダーム(NE)など)も破壊できるのがミソです。

・南交
この「南交(なんこー)」というのは、2人で対戦し、それぞれが木の棒を1〜3本もち、2人の棒の本数の合計を当て合うという、単純だけど面白い遊びで、主に宮崎県の南西部の都城地方や、鹿児島県で行われています。ここでは、そのルールをそのまま使いましたが、相手の手札が0枚だったりすると、かなり凶悪な呪文になってしまいますね。
実際の南交では、負けた方は焼酎を飲むというのが一般的なルールです。

岬馬
これは、宮崎県の南端にある都井岬に生息する野生馬です。野生であることを保つため、人間が餌をやったりすることが禁じられています。ここでは、エンチャントすると−1/−1修正ということで野生馬であることを表現しています。

道の泉
宮崎では(他の県でもだろうけど)道路脇にいいわき水が出ている場所が結構あります。宮崎県では、こういうわき水が出る場所を「道の泉」として整備をしてきました。ところが、水の水質までには気が回らなかったようで、整備はしたものの、いざ水質検査をしたら水が飲めないという場所が結構でてきました。このカードは、そういう飲めない水を飲んだという想定のカードにしています。
カードの効果としては、「凡人の錯覚(7th他)」に似てますね。

密植
道路の整備計画が発表されたあと、役所から補償金をたくさん貰おうという魂胆で、道路予定地に木をたくさん植えるという人がいました。このカードは、そうして補償金をもらって、土地が道路にかかっても焼け太りで土地が増えるということを表現しています。

シーガイアの気球
シーガイア、とうとう破綻してしまいましたね(当たり前か)。シーガイアも、開業当時は、カラフルな気球を飛ばして大々的に宣伝をしたものです。これを考えたのが破綻前だったんで、結構魅力的な能力を備えている、アーティファクト版「極楽鳥(7th他)」です。

運玉
宮崎県の南部に、「鵜戸神宮(うどじんぐう)」というのがあります。結構有名な観光地なんですが、ここの目玉の一つとして、この「運玉」があります。海岸にある大きな石にくぼみがあって、男性は左手で、女性は右手でこの運玉を投げて、このくぼみにうまく入ればいいことがあると言われています。
運玉は5個100円で売っていて、作っているのは地元の小中学生だったと記憶してます

メッセ・モアイ像
宮崎の南部の「日南市」というところで、比較的最近オープンした「サンメッセ日南」というテーマパークがあります。なぜか、ここには、7体のモアイ像が置いてあります。
とりあえず、ここでは、「キマイラ像」みたいな感じのカードにしてみました。
1体では寂しいけど、何体もあると迫力があるという感じが何となく表現できていると思うのですが。

えびの高原、青島、西都原古墳群、霧島、高千穂峡
これらの土地は、いずれも宮崎の主要な観光地です。これらの土地の能力は今までにはなかったもので、しかも対抗色が出るというものです。使い方は「反射池(TE)」に似てますが、反射池よりいい面と悪い面があって、能力的にはどちらかというと反射池に劣るのかなと思います。
そこで、「基本地形として扱う」ということにしたわけです。これはどういう意味かというと、特殊地形破壊呪文で破壊できないこと、「基本地形を持ってくる」呪文で持ってこれることなどです。最初はデッキに入れる枚数の制限も無制限にしようかとも思ったのですが、やはり4枚までにするべきでしょうね。(たくさん入れてもこの能力じゃあまり意味がない)




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