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・脳内探訪−占いの話
 ここでは、占いについての話をそこはかとなく書いていきます。
今までに書いた占いについての話は、ここに移しました。

I N D E X
年月日 タイトル 概要 おすすめ度
2000.1.16 ツキと人生戦略について ツイてるときの戦略、ツイてないときの戦略 ****
2000.2.27 占いははずれることもある 占いの不確実さとうまくつきあっていこう ****
2000.4.30 本を見ながら占うのは プロだって本を見ながら占いをする ****
2000.5.23 占いの真価 占いが価値あるものになるためには ***
2000.9.22 タロット占い−
大アルカナと小アルカナ
22枚で占うのと78枚で占うのはどっちがいいのか ****

・その1− ツキと人生戦略について(2000年1月16日)

 さて、栄えある(?)第1回は、ツキというものについて書いてみたいと思います。
 ツイている、ツイていないということは、占いや迷信を全く信じない人でも口にすることが多いと思います。
 ツイているときは何をやってもうまくいく。逆にツイてないときは何をやってもうまくいかない。このツキというものをうまく制御できたらなあと思うことは多いでしょう。
 ここでは、ツキを制御と言うわけにはいかないまでも、ツキと上手につきあう方法の一つを考察してみたいと思います。

 ここで、1つの例を考えてみます。
 ツイているA君とツイていないB君が英単語のテストを受けるとします。
 このテストは、10個の英単語の中から1問が出題されるというものです。

さて、A君はツイているので、自分が勉強した単語は、勉強していない単語の2倍の確率で出題される(つまり、自分が勉強した単語が出やすい)とします。

逆に、B君はツイていないので、A君とは逆に、自分が勉強していない単語が、勉強した単語の2倍の確率で出題される(つまり、自分が勉強していない単語が出やすい)とします。

さて、このときに、A君、B君が勉強した単語数と、そのときの得点の期待値(何回もこのテストをやったときに平均点が何点ぐらいになるかを予想したもの)がどうなるかを表にしてみましょう。

勉強した単語数と得点期待値の関係

単語数 10
A 君 0.00 0.18 0.33 0.46 0.57 0.67 0.75 0.82 0.89 0.95 1.00
B 君 0.00 0.05 0.11 0.18 0.25 0.33 0.43 0.54 0.67 0.82 1.00
0.00 0.13 0.22 0.28 0.32 0.34 0.32 0.28 0.22 0.13 0.00

この表から、色々なことが推測でます。
 まず、当たり前のことですが、同じ努力をすれば、A君の方が正解する率が高くなります。しかし、B君もA君以上の努力をすれば、必ずしもA君に負けるわけではないというのがわかります。例えば、A君が2つの単語を覚えたときに、B君は5つ覚えれば互角になるわけです。つまり、
ツキのなさというものはある程度努力でカバーできる

ということがわかるわけです。
ここまでは当たり前かも知れません。面白いのはここからです。

 もっとよく、この表を見てみましょう。(項目を追加しています)

単語数

10
A 君 0.00 0.18 0.33 0.46 0.57 0.67 0.75 0.82 0.89 0.95 1.00
1単語当効率 0.18 0.15 0.13 0.11 0.10 0.08 0.07 0.0.7 0.06 0.05
B 君 0.00 0.05 0.11 0.18 0.25 0.33 0.43 0.54 0.67 0.82 1.00
1単語当効率 0.05 0.06 0.07 0.07 0.08 0.10 0.11 0.13 0.15 0.18
0.00 0.13 0.22 0.28 0.32 0.34 0.32 0.28 0.22 0.13 0.00

 まず、A君とB君が同じだけ単語を覚えたとして、最もA君とB君の差が開くのは、ちょうど半分の5つを覚えたときであるということがわかります。
(表の一番下の赤数字を見てください)
つまり、だいたい半分ぐらいの努力をしたときに、ツイているか、ツイていないかで結果に差がつきやすいということがわかるわけです。

 また、当たり前のことですが、ツイているA君も全く努力しなければ0点だし、ツイてないB君も完璧に努力すれば満点をとることができます。
したがって、
  全く努力しない
ときと、完璧な努力をしたときはツキは関係ない
ということになるわけです。
 
さて、次は、表に追加した項目を見てみましょう(表の薄緑の部分)。
 この部分は、1単語を覚えたとき、得点がどのくらい上がるかを示したもので、1単語当たりの効率と思ってもらえればいいでしょう。この表をみると、

A君は最初の1単語目を覚えるのが最も効率がよい。
B君は最後の1単語を覚えるのが最も効率がよい。

ということが分かります。

 このことから、
ツイている人は最初のとりかかりが大切
であり、
ツイていない人は最後の詰めが大切だということが推測できます。

また、これを逆に考えると、今までツイている人生を送ってきた人は、最初の効率がいいので努力を始めるのは早いが、最後まで続かない傾向があり、逆に、ツイてない人生を送ってきた人は最初の効率が悪いので、努力を始めるのには躊躇するが、一度やり出したら最後まで粘る傾向があるのではないかと推測できるわけです。

 さて、それでは、ツイている人とツイていない人で、人生戦略がどのように違ってくるのかを考えてみたいと思います。

 先ほどの単語テストの例をもう一度使ってみましょう。今度は、科目数が2科目になります。つまり、英単語10個のうち1つが出るテストと、漢字10個のうち1つが出るテストの2科目があるとします。さらに、一夜漬けのため、覚えられるのは、漢字、英単語合わせて10個だけとします。

このとき、A君、B君はどのように勉強するのがいいのでしょうか。
例によって表を作ってみます。

覚える数  英単語 10
漢 字 10
得点 英単語 0.00 0.18 0.33 0.46 0.57 0.67 0.75 0.82 0.89 0.95 1.00
A 君 漢 字 1.00 0.95 0.89 0.82 0.75 0.67 0.57 0.46 0.33 0.18 0.00
ツイている 合 計 1.00 1.13 1.22 1.28 1.32 1.34 1.32 1.28 1.22 1.13 1.00
得点 英単語 0.00 0.05 0.11 0.18 0.25 0.33 0.43 0.54 0.67 0.82 1.00
B 君 漢 字 1.00 0.82 0.67 0.54 0.43 0.33 0.25 0.18 0.11 0.05 0.00
ツイていない 合 計 1.00 0.87 0.78 0.72 0.68 0.66 0.68 0.72 0.88 0.87 1.00

この表から、
ツイているA君は英単語、漢字とも5個づつ覚えて1.34点、
ツイてないB君は英単語か漢字のどちらかにしぼって10個覚えて1.00点
というのが一番効率のよい覚え方になるというのがわかります。
(表の赤い数字が最大値)

これを一般的なことに当てはめてみると、

ツイている人(ツイている時)は手広く、多角的に活動した方がよい。

ツイていない人(ツイていない時)は、1つの事に集中した方がよい。

ということになるわけです。

・結 論

  1. ツキのなさはある程度努力でカバーできる
  2. ツキが最も大きく影響するのは普通に努力しているときである。
  3. ツキのあるときは最初のとりかかりが最も効率よく、ツキのないときは最後の詰めが最も効果がよい。
  4. ツキのあるときは広く浅くがよく、ツキのないときは狭く深くがよい。

ということになります。これで、ある程度はツキと上手につきあうことができるのではないでしょうか。

 最後に、ツキについて私なりの考えを述べて見ます。この部分は理論的に考察したわけではないので、あくまでも私個人の意見ですが、いくらか参考になるのではないかと思います。

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・その2−占いははずれることもある(2000年2月27〜28日)

 私は、趣味で占いをやっています。おそらく、プロになっても何とかなる程度の腕はあると思っているのですが、私は、生活に困ってどうしようもない、ってことにならない限り、占いはアマチュアで通そうと思っています。
 その理由は、いくつかありますが、その1つに、
 「占いは、はずれることもあるということ。」
ということがあります。 
 プロになってしまえば、立場上自分の占いがはずれたとは言いにくいでしょう。そのため、「こりゃはずれたな」と思っても、なんとか結果をださなければなりません。しかしながら、占いは的中率100%というわけにはいかないものだから、はずれたときは、はっきり「はずれですね」と言った方がよいと思うんです。
 私自身の経験で、こんなことがありました。
 その日は、私がよく行く「樫の木」という店で、その店に来ていたお客さん14人全員を占うということになってしまった。そのときの占いはタロットでやったのだが(私は、タロット占いと四柱推命を主にやっています)、ある人を占っているとき、かきまぜているカードの動きが何か変だった。カードが不自然にクルクル回ってしまうのである。そのとき、私はカードを新しく買って間もなかったこともあり、「こりゃやばい」と思ったのである。
 とはいえ、そこで占いを中止するわけにもいかないので、とりあえずカードを並べてみたところ、思った通りひどいカードのオンパレードになってしまった。その人には、「どうもカードの調子がおかしかったみたいだ。これは私の方に問題があるから、気にしないでください」といって謝ったのだが、これも、アマチュアだからこそ可能なのである。
 さて、この「占いははずれることがある」ということは、結構重要である。つまり、占いにすべてを託すのは危険だということである。逆に、「はずれることがある占いは使い物にならない」というのも正しくない。「はずれることがある」ことを、きちんと認識していれば、占いは、結構役に立つものになるはずである。
−−−−−****−−−−−
 世の中には、「確実な」ものと、そうでないものがある。そして、我々は、普段は「確実な」ものとしかつきあおうとしない。例えば、100円を入れて確実にジュースが出てくる自動販売機と(それが普通だが)、値段は80円だけどジュースが出てこないことがある自動販売機があった場合、我々は確実にジュースが出てくる自動販売機でジュースを買う(当たり前か)。そして、ジュースが出てこないことがある自動販売機を、我々は「不良品」と呼ぶ。このように、我々は、確実性がないものを排除してしまう傾向がある。
 ところが、さっきの例で、80円の自動販売機でジュースが出てこない確率が10%だとすると、この自動販売機で10回ジュースを買えば、平均で1回はジュースが出てこないので、800円で9本のジュースが(平均的に)買えることになる。
 ところが、100円で確実にジュースが買える自動販売機で、9本のジュースを買えば900円である。そうすると、確実性のない80円の自動販売機も、決して「使えない」ものではないのではないか。
 実は、占いもこれによく似ている。占いは確実に当たるわけではないから、ジュースが出て来ないことがある自動販売機みたいなものである。しかし、だからといって、占いが使い物にならないというわけではない。はずれることがあるのを念頭に置いて、うまく使うことが出来れば、占いはかなり強力な武器になるはずである。
 さて、それではこういう確実性の薄いものをうまく使うにはどうすればいいのか、いろいろな方法が考えられるが、1つの方法として、数多く利用して平均でもうけるという方法がある。例えば、先ほどの80円自動販売機で、ジュースを1本買おうとすれば、ジュースが出てこないことがあるが、もし、この自動販売機に80円を100回入れれば、ほぼ90本に近い数のジュースが手に入る。もっと数を増やせば、お金を入れた回数の90%に限りなく近くなり、約89円で1本のジュースが買える自動販売機と同じことになる。
 そう考えれば、占いが好きで、いろいろな占いをかたっぱしから試す人がいるが、あれは占いの使い方としては正しい方法なのかも知れない。

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・その3−本を見ながら占うのは?(2000年4月30日)

 よく、タロット占いの初心者が、「私はまだ本を見ないとカードの意味が分からない」などという人がいます。逆に、プロが本を見ながら占いをすると、「この人大丈夫かな」なんて思ってしまいます。タロット占いができるという以上、本を見なくてもカードの意味が分かるのが当然という風に、一般的には思われているようです。
 話は変わりますが、私は、8年ぐらい前、仕事で悩みがあったので、あるお寺のお坊さんに、易占いをやってもらったことがあります。そのお坊さんは、一通り占った後(このときは、非常に悪い卦である「水雷屯」が3連続で出た)、点字本を取りだして(このお坊さんは目が見えないんです)、指でしばらく本を読み、それからおもむろに結果を話してくれました。このお坊さんの場合、本が点字だったということもありますが、だからといって、占いの結果がどうのこうのということは感じませんでした。
 要するに、プロでも本を読みながら占いをすることがあるんです。
 よく考えたら、占いの結果に、本を読むか読まないかは関係ないはずです。むしろ、プロでも、自分の占いが正しいかどうか本で確かめるぐらいの方が、むしろいいのではないでしょうか。
 以前、テレビの番組で、「医学書を読みながら診察する頼りない医者」というのをやってたのを見たことがあるのですが、この医者はむしろ慎重で信頼できるという見方はできないのでしょうか(テレビ画面の医者は頼りなさそうに演出していたが)。
 私たちは、小学校から大学入学まで、入学試験、学力テストなど、本を見ながらではできない試験ばかり受けてきています。そして、日本の教育は、記憶力に偏重しているという批評も、最近聞かれるようになってきました。こんな中、私たちは、きちんと記憶していない人はだめな人という価値判断をするようになってしまっているのではないでしょうか。
 記憶力は重要な能力ですが、それ以上に大切な能力はいくらでもあります。占いで大切なことは、霊感と、想像力と、何より占う相手への思いやりだと私は思っています。これから占いを目指そうという人は、こういう能力を磨くのがいいのではないでしょうか。
(私は、個人的には占い師は心理学と統計学の初歩は知ってないといけないと思う。)

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・その4−占いの真価(2000年5月23日)

 例えば、タロット占いを考えてみる。タロットの大アルカナには22枚のカードがあり、これにそれぞれ正位置、逆位置があるから、全部で44通りの意味がある。このうち、いい意味と悪い意味がどのくらいの割合であるかを考えてみよう。人によっていくらか解釈に違いはあるだろうが、正位置で悪い意味のカードは「死神」「吊られた男」「悪魔」「塔」「月」の5つで、このうち逆位置も悪い意味のカードが「吊られた男」「塔」というのが平均的なところだろうか。そうすると、
いい意味  20通り
悪い意味  24通り
となって、悪い意味が約55%ということになる。
 一般的に、占いでは、悪い結果の方がいい結果より若干多く出る傾向があるみたいである。占いというのは古代から長く伝わってきたものであることを考えると、人生というのはいいことよりも悪いことの方が若干多いのかもしれない。
 悪い結果が出るのであれば占いなんかしないほうがいいのではないだろうか。占いを結果だけで見ればそういう結論になってしまう。しかし、実はそうではない。
 例えば、「あなたは交通事故に遭いやすいでしょう」という占いが出たとする。これで終わりなら、この占いの通り、交通事故に遭って、結局悪いだけになってしまう。そこで、「あなたは交通事故に遭いやすい。しかし、○○すれば、事故に遭わずにすむだろう」という占いであれば、この人は○○をすることによって、占いをしなければ避けられなかったかもしれない事故を回避することができる。実は、占いの真価はここにある。
 ここで問題になってくるのが○○の内容である。これが、「教団にお布施を納める」とか「この壺を買えば」とかいうのであれば、これは間違いなく悪徳商法である。また、「外に出なければ」とか、「車を運転しなければ」とかいうのも、あまり意味がない。
 私は、こういうアドバイスをするとき、なるだけ簡単にできて、しかも負担の少ない方法を選ぶことにしている。例えば「赤い服を着るといい」とか、「方角は西がいいですね」とかである。これらは、主に四柱推命から割り出すのであるが、こういうアドバイスは、むしろ心理的効果の方が大きい。簡単にできる対策をすることが、「私は(自分の手で)運命を変えようとしている」という自覚というか自信につながるのである。これは、思った以上に効果が大きく、こういうアドバイスで幸せをつかんだ人も珍しくはない。
 占いの真価というものは、こういう、きっかけとか、自信とかを与えることなのではないだろうか。

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・その5−タロット占い−大アルカナと小アルカナ(2000年9月22日)

 さて、今日はタロット占いの話をしよう。
 タロットカードには、22枚からなる大アルカナと、56枚からなる小アルカナがある。大アルカナは、魔術師とか女帝とか死神とか、そういうカードで、カードの名前に沿ったイメージの意味が込められている。小アルカナは剣、聖杯、金貨、棒の4つのマークがあって、それぞれ1から10までと、ページ(小姓)、ナイト、クイーン、キングの14枚、計56枚のカードで構成される。小アルカナは今のトランプのもとになっていて、ページとナイトがくっついてジャックに、大アルカナから特別ゲストとして0番の愚者を招き入れてジョーカーになっている。
 さて、タロット占いをするとき、大アルカナの22枚だけで占う方法と、大アルカナ+小アルカナの合計78枚で占う方法がある。普通、タロット占いの本には、一般的なことは大アルカナだけで占えるが、細かいことが知りたい場合は小アルカナも入れて占うという風なことが書いてある。
 普通に考えると、大アルカナだけの占いはおおざっぱで、小アルカナまで入れて占った方が精密という感じがする。そうすると、大アルカナだけで占うより、小アルカナも入れて占った方がいい占いなのではないか。そう思うのが普通かも知れない。
 実は、私はタロット占いをするときには大アルカナの22枚だけで占うことにしている。これは、おおざっぱな私の性格もあるのかもしれないが、私の場合初対面の人を占うことが多いので、かえってこっちのほうがいいのではないかと思う。
 大アルカナだけで占った場合、確かに結果はおおざっぱだが、その分はっきりと結果が出る。これが、小アルカナまで使ってしまうと、細かく分析はできるものの、全体が見えにくいということになりかねない。
 地図を考えてみよう。例えば、福岡から東京はどっちの方向か知りたいというときに、5万分の1の地図があったって分からない。そういうときは、何百万分の1かの縮尺の日本地図の方がずっと役に立つ。
 タロット占いも、これに似ているのではないだろうか。おおまかな問題点を探ろうとするときには、大アルカナの22枚だけで占った方が、小アルカナまで入れて占うよりいい場合が多いと思う。
 ところで、大アルカナだけで占った場合、結果は何通りぐらいあるのだろうか。計算してみたところ、約2千4百兆通りとなった(ケルト十字法の場合)。1日1万回占って全部違う結果が出たとしても、全通りの結果が出るには6億年以上かかるのである。

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