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今回の夢は、二段構え。決してイイ夢ではありません。
「ブギーポップ」とは、角川電撃文庫で、上遠野浩平さんが
書かれている小説に出てくるキャラクター。
んー、私は、彼についての位置づけとして「この世にあらざる
べきモノを退治するヒト」なのです。
実際は、もうちょっと違うのですが。
彼について知りたい方は、どうか「ブギーポップ」のシリーズを
読んで下さい。


場面は、中学生の卒業式からの始まりです。私は、中学生
でした。どうやら、架空の校舎でしたね。
私が育ったところでは、小学校から全員、中学校にそのまま
持ち上がるので……若干、他の小学校からも来るため、増え
ますが……9年間、同じメンツです。
懐かしい面々と会話しつつ、喜びしか感じていませんでした。
これで自由や!と叫んだことを覚えています。
担任は、私の中で一番印象深い、中学校一年の時の先生
でした。
卒業式後は、ぼろ校舎でHR。担任が、記念品を配ってます。
教室は木造で、私は窓側、二列目の前から四番目。後ろに、
一人しかいませんでしたから。
たしか男の子は廊下側の半分に、女の子は窓側に分けられ
てましたねぇ。

記念品は、メダル。それと、何故か髪の毛を飾るような、ベロア
のリボンでした。
幅広で、青と緑しかなかったのですが、私は先生がぼそりと
「赤もあるんだけどなぁ」と言ったのを聞き逃さず、…というよりは、
担任はリボンだけ手渡しで一枚ずつ配っていたのです。
で、私の側で先程の言葉を呟いたのですよ。
そう言うところだけ耳ざとい私は、青や緑よりは赤の方がイイ、と
直感。先生に駆け寄り、「先生、赤があるんやろ?」と
持ちかけます(笑)。
先生はちょっとうろたえたように頷き、私の耳元で早口に「おう、
だけど数が少ないから黙っとったんや。貰いたいんなら、
職員室の白井先生に貰ってき。早くな」と急かします。
笑って承諾した私は、ぼろクラスを飛び出し、勢い良く階段を
降りて職員室へ。まだ二、三人残っていた先生達の中から、
首尾良く白井先生を捜し出すと、リボンの赤が欲しいこと、
もう一つ、メダルが足りないので、それを下さるように、お願い
しました。
しかし、先生は困った顔で立ち上がり、「欲しい物は、それ
だけでいいの?」と念押しするのです。
不思議に思い、「いいえ先生、私が取りに行きますよ?」と
言うと、記念品が置いてある倉庫は遠いから、先生が取りに行か
なければならない事、貴重品も置いてある事を言われて納得。
「したら、待ってます」と元気良く返事をして、鍵を持った先生が
どうしてだか悲壮な顔つきで職員室を出るのを不思議に思い
つつ見送りました。

気が付けば、職員室には私しかいなくなっていました。
他の先生方は、可哀想な、という表情で白井先生を見送り、
ついでに私にもその表情を向けてから、職員室から出ていった
のです。
がらんとした職員室は、やけに向こうがわが遠く、上の階からは
卒業式にはしゃいでいる生徒達の声。

私は、じんわり…と、怖くなりました。

気のせいでしょうが、白井先生の叫び声が微かに聞こえたような
気がします。
目の前にはストーブがあり、天板に置かれたやかんからは勢い
良く湯気が出ているのに、寒いのです。
心細さはピークに達し、私は、自分に言い訳しつつ職員室を
出ようとしました。リボンなんて、もういいわ…と。
すると、白井先生が行った方向から声が聞こえてくるのです。
「待ちなさい」と。
しわがれて、恐ろしいその声にビビリ、私は走り出します。何かが
後ろから追いかけてくる気配がします。蛇のように地を這って追い
かけてくるのです。
半ば腰を抜かしながら階段を駆け上がり、なんとか逃げ切って
教室に滑り込んだときにはもう、生きた心地もしませんでした。
しかし教室は相変わらず賑やかで、丁度、記念品を配り終えた
ばかりのようでした。
どちらのリボンがいいか見せあいこしたり、メダルを嬉しげに覗き
込む仲間達。
もう大丈夫や、と安心して、私は自分の席に崩れ落ちました。


先生の最後の忠告が終わると、私達は自由でした。それぞれが
何かを宙に放り投げ、喜びを表現します。
私は、穏やかに嬉しくて校舎の外に掛けだし、迎えに来ている
はずの彼氏を探します。
今日から、私はこれも経験やろう、と思って参加を決意した、
「一週間の自衛隊訓練」に行くのです。
だから、彼氏が私の荷物を持って、訓練所に送っていくために
迎えに来ているはず。
胸をはやらせて駐車場に向かいます。そこに並んだ車達は、形
こそ普通なのですが、実に八割以上が緑色でした。
鮮やかな黄緑や緑、深緑の車達。
彼氏の車も、形こそ彼が乗っている車でしたが、緑でした。
窓を叩き、載せて貰って出発。

クラスメイトに手を振りつつ、私は、卒業したのです。



訓練所は、山の中でした。離合もできないような狭い道路を
くねくねと曲がり続けます。
お祝いに、と食べた豪華な昼食がそろそろ胃にもたれるがな、と
言うときに、ようやく到着です。
昼なお暗い…という言葉がピッタリの、薄暗い森の中に、その
一軒家は建っていました。
屋根のある一戸建て。二階部分に直接上がれるように、外階段
付きで外壁は木が主材。ペンキもくすんでいます。
何故だか暗いイメージ、を、見た瞬間に思いつきました。イヤな
気分で振り返ると、彼氏も首を振っています。
けれども訓練の費用も振り込んであるし、土壇場になってキャン
セルは、してはならんこと。
ビビって逃げ出すのもなんやし。
家のすぐ側で話していた四、五人がこちらに気付き手を振って
くるのをきっかけとして、私は嫌がる彼氏を帰らせて訓練に参加
する事を告げました。

彼らは、大学生のようでした。服装こそ、自衛隊の戦闘訓練の時
のような迷彩でしたが、私と同じようにこの訓練に参加する民間人
とのこと。
イヤな人達でした。なめ回すように私の体を上から下まで、もう
一度下から上まで見回すと、ニヤニヤしながら本人達にしか
わからないことをぼそぼそと言うのです。
「こりゃイイね」、「うん」、「生きのいいウサギ鍋だね。今日ね」、
「うん」。
なんですのん?と聞こうと口を開いたとき、建物の中から迷彩で
はない、自衛隊の制服を着たヒトが出てきました。
何処かぎこちない笑顔で、ようこそ、みたいなことを喋り、建物の
中へと促します。
一週間の辛抱や、と私は後を付いていきました。

スイマセン、長すぎるので一旦切ります。
続きは、『2』で。


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