「超獣というモノ」

脱出!

 ウルトラマンAという番組に超獣という敵が出てくる。というよりもAの相手は超獣という認識が誰の頭にもあると思う。一応ムルチ2代目とか、ウー2代目とかいわゆる「怪獣」も居るには居るのだが、「Aの相手は超獣」という風に何故か、なっている。
 そもそも「超獣」とは異次元超人ヤプールの送り込む侵略兵器であった。僕はこのヤプールの侵略兵器という超獣の位置付けがとても好きだ。ウルトラシリーズ初の番組通しての「敵」ヤプールの尖兵というのは仮面ライダーにおける悪の組織の改造人間と同じ扱いだ。だから中半でヤプールが基本的に滅んだ段階で超獣が「居る」という状況が少し納得がいかなかった。巨大ヤプールはその最期で「
ヤプール死すとも超獣死なず!」などと言ってたのでその時期までに創り上げた超獣が居たのは当然だろうし、或いは超獣自動生産プラントみたいなものが残っていたかも?という理由も判らなくはない(事実、タロウ第1話のオイルドリンカーはヤプール最後の侵略超獣とされる)。また、地球にばら撒かれたヤプールの破片から自然発生的に生まれたヤツもいただろう。
しかしいくらなんでも
ヤプールと無関係の宇宙人や怪人の手下や太陽光線を浴びて変異したのまで「超獣」ってのはないだろう。(「超獣」というのがヤプールの「侵略兵器」というモノに限定するならば)まあ、結局中半以降はヤプールと無関係の超獣がかなり出てくるようになるが個人的にはヤプールの残党としての超獣が中半以降、適数出てきて後は従来通りの怪獣が出てくれば結構良かったんじゃないかと思っているくらいだ。
 つまり、僕にとっての超獣はあくまでも「
ヤプールの侵略生物兵器」(Aにおいては)というものなのだ。だから、超獣が怪獣より強い、弱いというのは僕の中では意味を成さない。ヤプールの超獣というところに意義があるのだ。それらヤプールの超獣を僕が気に入っているワケは先ほどの「ヤプール配下という位置付け」以外に次のことが挙げられる。それは、

1) 侵略生物兵器であるため様々なモノがその素材として活用されている

2) これまでの怪獣と一線を画す重厚かつ派手目な容姿

ということだ。
1)は
ミサイルを主武装とするベロクロンは言うに及ばず、天女(!)宇宙線の合成されたアプラサール等、その性格付けが面白い。
2)はいかにもヤプールに手を加えられている。といった所だ。すなわち原色を中心とした明るめの配色、自然界のものではない形状、以前までの怪獣を上回る重厚感だ。特に重厚感が重要で
僕はバキシムドラゴリー等に代表される前半部超獣の力強さはこれらから生み出されていると考えている(それが顕著に表れるのが第7話「怪獣対超獣対宇宙人」とその続きの第8話「太陽の命・エースの命」!ドラゴリーとムルチ2代目の印象の差を見よ!)。中半以降の超獣は「ただの派手な怪獣」といった感が強いが、それはヤプールの手を離れているため侵略兵器という位置付けを失い性格的に「怪獣」との差がつかなくなってしまった事と、何よりも重厚感に欠けていることが大きいと思うのだ(重厚感があるのとただ重そうに見えるのは違う)。それなのに何故、「超獣」なのか?と言われればTACが超獣攻撃隊だからかもしれないが、つまるところ「Aの相手は超獣」だから。という理由に尽きるのだろう。怪獣図解入門(小学館)にも「〜ぞくぞくとやってくる超獣をやっつけるのはウルトラマンエースだけだ。」と書いてあるくらいだから(笑)。