腰痛 椎間板ヘルニア 坐骨神経痛 膝関節痛など 運動器疾患

 近年の医療現場においても筋肉疾患に対する関心が徐々に高まってきました。しか
し、筋肉疾患の多くは客観的な検査・診断が困難なため見過ごされることが多く、適切
に筋肉を治療すれば数ヶ月で完治していたものを放置したことで歩けなくなった人、手
術する前に筋肉をみなおしていれば身体にメスを入れる必要のなかった人、交通事故や
怪我の後などに速やかに筋肉を診ていれば慢性痛に移行しなかった人などが現実に非常
に多くおられます。
 また、年に何度も繰り返すぎっくり腰や寝違い。病院で椎間板ヘルニアと診断された
が手術するほどではないと言われたり、手術を受けたが症状が改善しない。坐骨神経痛
と診断され、足までしびれや痛みがある。肩が痛く腕が挙がらない。よく頭痛やめまい
がする。膝の腫れや痛みがとれず老化現象と言われた…など、このような悩みをお持ち
の場合、筋肉・筋膜・関節を適切に治療すれば多くの方が、治癒や症状の緩解、再発の
予防を期待できます。

 身体が年齢とともに変化していくことは紛れもない事実です。科学的なデータを見て
も、筋力と筋肉の柔軟性は40歳を過ぎると著しく減少します。筋肉の断面積を比較す
ると20歳が最大で、70歳までに20歳時より30〜40%減少します。同時に筋肉内部
の代謝も悪くなり、筋肉は縮んでいきます。このことは、自覚症状の有無に関係なく、
すべての人に共通します。

 重力の中で人が身体を支え、自由に動かすことができるのは、「筋肉」とそれを包む
「筋膜」、骨と筋肉をつなぐ「腱」、関節を支持する「靭帯」、そして「骨」「軟骨」
といった組織が互いに連結した働きによるものですが、血液循環、呼吸、発熱、消化吸
収といった生きるために必要な生理機能も多くの筋肉が発揮する力を利用して行われて
います。筋肉に共通する働きは収縮という作用があるだけで、伸びるのは拮抗する筋肉
の収縮によって受動的に行われます。つまり、前側の筋肉を伸ばすという動作は、後側
の筋肉を能動的に収縮させることにより行われます。
 筋肉の病的および生理的萎縮(疲労や老化で筋肉が縮む)が生体に及ぼす影響は筋力の
低下や疲労感のみではなく、骨の変形をはじめ、筋内およびその周辺を走行する血管、
リンパ管、神経(自律神経も含む)を圧迫することで多岐にわたります。

 短縮した筋肉は骨を非生理的な方向に牽引し、ズレを生じさせるとともに、関節を圧
縮することで関節内圧を高め、刺激された軟骨および骨に変形を生じさせます(骨は刺
激された方向に成長・増殖する性質がある)。典型的な症例として、骨棘の形成、頸の
骨の変形、腰の骨の変形、ひざ関節の変形、椎間板ヘルニアなどがあり、これらの多く
がこのメカニズムにより発生します。また、老化現象と診断され、あきらめているケー
スが多くみられます。

 筋肉が縮むと正常筋より短縮して硬くなり、両端の腱は肥厚します。縮んで硬くなっ
た筋肉は、両端の骨を持続的に牽引するとともに、筋肉内部の神経、血管も圧迫するた
めに栄養されなくなり、連結している周囲の組織を巻き込みながら、更に縮んで硬くな
るという悪循環を招き、治療されずに長年放置されれば永続的に硬結化します。

 硬く縮んだ筋肉は的確な治療刺激を繰り返し与えることで徐々に組織の修復が行われ
正常筋に移行していきますが、硬結化した筋肉繊維は麻酔下でも弛緩することはなく、
特に長年にわたり放置されたものは中心部の組織が不可逆な変性を呈している場合が少
なくありません。

 腰部椎間板ヘルニアにおいて、以前は一度突出した椎間板は不可逆であり、外科的に
切除しなければ症状は治らないと言われていましたが、アライメント(骨、関節の並び
方)の不良,不正に起因する過剰なメカニカルストレスによって発症することが多いこ
とから、腰の筋肉と関節を柔軟にし、骨盤の傾きや捻転を正して水平にして姿勢を正す
ことでアライメントが修正され、突出していた椎間板が徐々に生理的な位置に納まる可
逆性があることはMRIを使った調査でも確認されています。

 適度の運動を継続することで筋力を維持することはできます。しかし、多くの人が気
付かない落とし穴があります。それは、「運動量に比例して確実に筋肉内部に疲労物質
が蓄積し、筋肉は縮んで硬くなる」「ストレッチ体操は非常に有効だが全ての筋肉に効
果があるわけではない」という事実です。若々しい健康な身体を作り、維持するには
「筋肉をはじめ身体の組織は時間とともに確実に縮んでゆく」という生理作用を理解し
て、対処する必要があります。
 自身のからだからの声に耳を傾けて体内環境を整え、自発的治癒を賦活することは、
病気の予防と、罹ってしまった病気やケガの回復を早める結果につながります。

 筋肉や関節を良好な状態で維持することは健やか人生のいしづえとして銘記してくだ
い。


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