Myo therapy
マイオセラピー
病態
 マイオセラピーが対象とする筋疾患には3種類あります。
 そのひとつは、交通事故や転倒、あるいはスポーツ時に起こる外傷などのように、その原因
が明らかな急性筋傷害です。この場合、限局した窪みとして触知される"筋軟化"と、ある筋の
一部筋線維の"部分的筋緊張亢進"が特徴的な触診所見です
 その病態の二番目は明らかな原因のない慢性筋短縮症候群です。これはニューロパシー
(Neuropathy)、特にラディキュロパシー(Radiculopathy) を原因とします。その結果、椎間孔など
で障害された運動神経(脊髄神経の前枝および後枝) により支配されている筋に脱神経症状と
しての筋短縮である"筋硬結"が発生し、その"筋硬結"に痛覚過敏部位(トリガーポイント) が
生じます。このラディキュロパシーにより、感覚神経も障害を受け感覚の低下や異常感覚を呈
します障害領域の皮膚をピンなどで引っかくと正常皮膚よりシャープに感じる皮膚の異常痛症
(Hyperpathia) や、慢性痛に特徴的な痛みで触覚を伝える感覚受容器の興奮によって痛みが
起こるいわれるアロディニア(Allodynia) が発生します。そのため慢性筋短縮症の患者さんに
は、"筋硬結"に触れたり、皮膚にものが触れるだけで痛みを訴えたりする異常な感覚が生じ
ます。また、自律神経機能異常も発生し、持続的な血管収縮による障害部の冷え、脱毛や神
経原性浮腫(Trophegema)、立毛筋反射亢進によるいわゆる鳥肌の異常出現などの皮膚の異
常が発現するといわれています。この症候群には必ずしも痛みは伴わず、もし痛みが発生し
た場合は神経根障害による超感受性(Supersensitivity) を呈す神経に対する異常な反応であ
って、その痛みの部位に侵害刺激がなくてもよい、といわれています。この慢性筋短縮症候群
の特徴である"筋硬結"が脊柱筋に起こると、椎間孔を狭小化するので、さらなるラディキュロ
パシーを引き起こす原因となることが指摘されています。よって、この短縮した“筋硬結”が病
態の改善にとって要となる存在です。つまりこの"筋硬結"を緩めることで脊髄神経の障害部位
である椎間孔およびその周辺を拡大することが治療の目的となります。
 最後の病態は、慢性の筋短縮症候群に急性の筋障害が加わった"混合型"です。ラディキュ
ロパシーが発生し、脱神経が起こると、コラーゲンの代謝回転(Turnover) が低下します。その
結果、骨・靭帯などの軟部組織や筋の質が悪化し、それらは障害を受けやすくなります。ラディ
キュロパシーのある人は繰り返す捻挫や急性腰痛(ギックリ腰) などを起こしやすくなっていると
考えられます。

※ ニューロパシー性疼痛 (Neuropathic pain)
 これは神経傷害のあと何日も何週間も経過してから発生します。通常4日後に発生すること
が多いといわれています。ニューロパシー性疼痛は、関連痛のように傷害部より遠隔部に発
生することもあり、広範性の疼痛です。傷害神経に関わる分節での筋や皮膚の痛覚過敏症を
起こします。ニューロパシー性疼痛は、通常の関連痛とは異なり、痛みの原因がなくなったり、
治癒プロセスが完了したりしていても持続します。
 次の状況が存在するときはニューロパシー性疼痛を疑います。
1.進行中の組織損傷過程(炎症)が存在しないのに痛みがある。
2.不快異常感覚(dysesthesiae)が存在する。しばしば焼け付くような電気ショック様感覚であ  
 る。
3.痛みは傷害の後、遅れて発生する。
4.感覚欠損の部位に痛みを感じる。
5.発作性の短時間のビーンと走るような(shooting)、刃物で突き刺されるような(stabbing)痛みを
 感じる。
6.擦るような刺激でも痛みを感じるアロディニア(allodynia)、痛覚過敏(hyperalgesia)が出現す 
 る。
7.繰り返し刺激によって著しい加重(summation)と刺激後反応(after-reaction)を示す。

※ ラディキュロパシー (Radiculopathy)
 椎間孔レベルで起こるニューロパシー性疼痛

 
 では、筋硬結があるとどんなことが起こるのか? わかりやすい表現で以下に代表的なもの
を挙げてみました。
 1.疼痛(痛み)
    運動痛(動かしたときに痛い)、自発痛(じっとしていても痛い)
  2.関節可動域制限(関節の動きが悪い)
    有痛性可動域制限、無痛性可動域制限
 3.筋力低下
    痛みの発現に起因するもの(痛くて力が入らない)
    実質的な筋収縮能力の低下に基づくもの(痛くはないが力が入らない)
  4.固有感覚障害(平衡感覚など)
    ふらつき、めまい、足が上がったつもりでつまずく、重量認知障害、運動協調障害
  5.関連領域の血管収縮及び免疫機能低下(病気やケガを自然に治す力の低下など)
    局所的な血液・リンパ液などの循環障害、感染症など
 6.その他の身体症候
    心臓・胃・腸などの内蔵機能異常、呼吸機能異常、耳鳴り、歯痛など
 7.精神活動異常
    気力減退、短気など

 異常筋により引き起こされる主な症状。
☆ 頭痛、顔面痛、顔面神経マヒ、目の奥の痛み、顎関節痛、歯痛および歯が浮く、耳 
  鳴り、頸部痛(変形性頸椎症を含む)、肩凝り、脊柱側湾、猫背、背中の痛み、胸の痛
  み、肋骨間の痛み、腹部・下腹部・脇腹の痛み、急性・慢性腰痛(ギックリ腰・椎間板 
  ヘルニアを含む)、お尻の痛み、足の痛み・しびれ・冷え、こむら返り、股関節の痛み、
  膝の痛み(変形性  膝関節症を含む)、足首の痛み、足の裏・かかとの痛み、肩関節
  痛、腕の痛み・しびれ・冷え、肘の痛み、手首の痛み
☆ 外傷(骨折、靭帯損傷、捻挫、打撲、肉離れ、突き指など)後の痛み・むくみ、手術痕
  の痛み
☆ 脳卒中後の関節拘縮(筋肉が縮んでしまい関節が伸びなくなる)
☆ 胸の締め付け感、息苦しさ、喘息発作の誘発、喉の詰まり感、胃痛、生理不順、便
  秘、腹部の冷え、皮膚のしみ・ヒリヒリ感、むくみ、高血圧、動悸、睡眠障害、いらい 
  ら、めまい、ふらつき、吐き気、よくつまずく、足がもつれる
☆ 風邪をひきやすい・なかなか治らない
 よくあるケースを列挙しただけでもこれだけあります。


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