簡単な自己療法
簡単な自己療法
免疫系を活性化して自然治癒を促す誰にでも出来る安全な方法を紹介
自己療法を行う場合はすべて自分の責任で行ってください。
実行に際して生じたいかなる結果においても情報提供者は一切責任をもてませんのでご留意ください。
特に医師の治療を受けている方は医師にご相談のうえ実行してください。
からだには本来病気やケガに対して自然に治る力 (自然治癒力) が備わっています。人はなぜ病気になり、なぜ治るのかもっと関心をもち、セルフケアの簡単なテクニックを身につければ余分な医療費を多いに節約出来ることと思います。このページではからだが自然に治っていく力を手助けするための方法を、私自身の経験と信頼できると思われる文献を参考にして、いくつか紹介します。おおげさな器具や、たいした訓練もなしにできる、手軽で効果的な方法ばかりです。
◆安静
安静はあまりに簡単すぎる方法なので、具合が悪くなっても多くの人がそれを軽視し、忘れてしまいがちです。免疫系(自然治癒力の構成要素の一つ)が働くためにはエネルギーが要ります。したがって、不要なエネルギー消費を抑えることは免疫系を大いに手助けすることになります。具合が悪くなったことに気が付いたら、すぐに予定の行動を中止し、布団に横になって、だれかの看護を受けるべきです。それは薬を飲んで仕事に出掛けるより、はるかに分別のある戦略というものです。初期であれば、たった24時間の安静だけでも、病気の進路を変えて回復に向かわせるのに十分なことが多々あります。
◆断食
断食の効果には、ちゃんとした生理学的な裏付けがあります。からだの中で最も大きく、かさばった器官であることからもわかるように、消化器は普通に働くだけで大量のエネルギーを消費しています。食べないという単純な行動によって消化器系を休ませると、からだは余った大量のエネルギーを治癒のために使うことができます。断食とは水(あるいは水と無糖のお茶)以外には何も摂取しないことです。果物やフルーツジュースだけをとる方法もありますがそれは断食ではなく、特殊な食事療法としての効果はありますが、断食と同じ効果は期待出来ないでしょう。
断食には2種類の方法があります。短期断食と長期断食で、両者はやり方も効果も非常に違っています。
短期断食は1日から3日間、水以外に何もとらないという方法です。短期断食でも意識と生理が変化します。風邪・インフルエンザ・その他の感染症・中毒症状の家庭療法にはもってこいの方法ではないでしょうか。断食と安静と精神状態の安定の3つを組み合わせれば、爽快感を味わえます。私自身は、1日断食しか経験していませんが、それでも五感が鋭くなり、頭がすっきりし、からだが軽く活気が出てきます。
長期断食は3日以上連続して断食する方法です。他の治療法ではどうしても治らなかった肝炎、慢性関節リュウマチ、気管支喘息、慢性腎炎、重度の糖尿病などが治癒または緩解した例もあるようです。しかし、長期断食は一種の荒治療であり、危険を伴うため必ず経験豊かな専門家のいる施設で行わなければなりません。
自己意識を高めたいときや、病気になったときに短期断食を試してみようと考えている人のために、覚えておくべきポイントを紹介します。
◎ 必ず大量の水を飲むこと。これは便秘の予防になり、また、体内で作られる毒性産物を泌尿器系が排出するのを助けます。
◎ エネルギーを温存すること。断食中に通常の活動や、いつもやっている運動を続けよう としてはなりません。
◎ 保温に注意すること。断食中は体温が低下します。特に気温が低いときは寒気にあたらないようにすべきです。暖かい服を着て熱い緑茶やハーブティー などを飲んだり風呂に入ったりしましょう。ただし、長風呂は体力を消耗するので注意が必要です。
◎ 食べ物や、食べている人を見ないようにすること。それは断食をつらいものにするだけです。
◎ 分別ある復食をすること。断食が終わったら、少量の野菜ジュースかフルーツジュース、ごく少量の軽くあっさりした食事から復食を始めます。いきなり焼き 肉屋へ駆け込むのは病気になりに行くようなものです。
◆汗をかく
十分な水の補給さえあれば、汗をかくことは、からだがさまざまな毒素を排泄する自然の浄化法です。乾式や湿式のサウナで汗をかくのもいいでしょう。そのときは、きれいな水をたくさん頻繁に飲むことを忘れないようにしましょう。タバコを吸う人、酒飲みの人、薬を常用している人、塩分を多く取る人は特に汗をかくようにすべきでしょう。また、ウイルス感染のごく初期に大量に発汗すれば、病気の進行が止まるか、病気の程度が大幅に軽減するようです。
◎ 汗をかき終わったら安静にすること。大量に発汗すると体力を消耗し、めまいがしたり、 足元がふらついたりすることがあります。
◎ 汗をかき終わっても水を飲み、尿をたくさん出すこと。体を脱水状態にしてはいけません。
◆蒸気吸入
蒸気の吸入は呼吸器系の症状、特に気管支炎、気管支性のせき、咽頭炎、などに効果的です。鍋にお湯を沸かし立ちのぼる蒸気を鼻に症状があるときは鼻から、それ以外のときは口から蒸気を吸い込みます。お湯の中に香りのいい好みのハーブを入れてみるのもよく、なかでもセージ(サルビヤ) と ユーカリの混合蒸気は患部の消炎作用や抗細菌作用もあるようです。ウイルス性の呼吸器疾患の場合、吸入療法は二次感染の機会を減らすことにも役立ちます。
◆鼻洗法
鼻洗法は塩湯で鼻道を注ぎ洗いする方法です。ヨーガの健康法の一つですが鼻腔の病気(花粉症など)やアレルギー性鼻炎に対する優れた治療法でもあります。ほとんどの人は鼻に水が入る感覚を嫌いますが、塩湯の温度と濃度に気をつければ多少の訓練ですぐに慣れることができます。
1カップのぬるま湯に小さじ1/4の塩を溶かします。これは血液や組織液のナトリウム濃度とほぼ同じもので、粘膜に優しく働きかけます。
やり方は、十分な塩湯を鼻から吸い、口から吐き出します。両方の鼻孔を5〜6回ずつ洗い、最後に片方ずつ静かに鼻をかみます。
鼻洗いをしていると、風邪やインフルエンザのときのうっ血や炎症が軽くなることに気が付きます。鼻に塩湯が通るぐらいの透き間があれば(完全に鼻が詰まってしまっては出来ないので)、鼻洗いをして炎症を起こしている組織の回復を早めましょう。
◆うがい
うがいは手軽にできて、のどの痛みや耳の感染からくる耳閉感の改善に役立ちます。うがいの狙いは喉の組織を潤して、治癒を促進するところにあります。一番簡単なうがい薬は鼻洗法のときと同じ塩を溶かしたお湯で、その際お湯は喉がやけどしない程度でできるだけ熱い方がいいでしょう。うがいをするときは、少なくとも1日に4回、1回に2〜3分はしなければなりません。
うがいの効果は炎症を起こした組織を洗浄し、患部を温めて血流を導入するところにあります。
◆温冷湿布と温冷浴
温冷湿布は簡単な方法ですが体には優れた効果があります。一般に温湿布は血管を広げて患部への血液補給を増やし、冷湿布はその反対の働きをします。感染の場合は患部への血液を増やす必要があります。急性の外傷や毒物注入(毒のある動物に刺されたり噛まれたりしたとき)の場合は患部への血液を少なくする必要があります。したがって、腫れ物・化膿・筋痙攣などには温湿布(温罨法)をほどこし、打撲傷・捻挫・関節や筋肉の外傷・やけど・虫さされなどには冷湿布(冷罨法)を施すのがよいでしょう。
風邪による喉の痛みなど、局所の感染には温湿布が最高の治療法でしょう。タオルをお湯に浸して絞り、それをたたんで患部に当てるだけでよく、我慢できるギリギリの熱さで(あくまでやけどしない程度)タオルが冷え始めたらすぐに温め直します。これを1日に3〜4回、1回に15分づつ行います。
広い部分を温め、筋肉の痛みを和らげるには、ホットパックも便利です。ただし、電気ホッ トパックは目に見えないところで危険が考えられるので注意を要します。大きな電場を作り、それがデリケートな生物学的制御システムを阻害する恐れがあるからです。ゆえに、電気ホットパックの定期的な使用は避けたいものです(同じ理由で電気毛布の使用もやめることをお奨めします)。生理痛や腹痛のような症状には湯タンポも安全で効果のある方法です。
アイスパックは外傷部分を冷やすのにいい方法です。冷蔵庫のアイスノンを何枚かのタオルに包んで作ります。外傷の冷湿布は早く手当をすればするほど効果があります(やけどは、局所を素早く氷水に浸すことが大切です)。患部を冷やせば損傷組織への体液の漏出を減らし、腫れや痛みを軽減し、毒素の組織への拡大を遅らせることができます。急性の外傷を冷やす治療は最初の数時間に集中的に行い、冷やすことで不快感が生じたら、時々アイスパックをはずします。冷湿布は外傷を受けて12時間から24時間のあいだ断続的に施し、24時間を過ぎたらあまり効果がありません。
スポーツ界では筋肉障害に対して、冷湿布の時期が過ぎたら温湿布と冷湿布を交互に施すことを奨めている人もいます。この場合最後は温湿布で終わります。
温冷浴をすれば、短時間に気分を一新することができます。温浴には弛緩効果があり、体表への血流を増やし、筋肉や関節の痛みを和らげ、睡眠を促します。冷浴には刺激効果があり、筋肉・循環器系・心臓を整え、精神を活発にし、心身に活力をよみがえらせます。温度の違う二つの浴槽に交互に入浴して、からだがどう反応するか実験してみるといいでしょう。
◆浄化法
からだには自己浄化システムが備わっています。汚染や毒物から身を守る方法は、日頃からそのシステムが快調に働くようにしておくことです。例えば、優れた血液浄化装置である腎臓は、いかに高価な人工透析器も恥じるほどの実に効率のいいコンパクトな濾過器であり、また、体内酵素により毒物を効率よく解毒する肝臓は、その能力と同じ機能を最新の化学工場で行うには東京23区と同じ面積を有する化学プラントが必要になるほどの仕事をしています。
わたしたちの体に備わっている浄化装置を信頼し、それを大切にすべきです。例えば、きれいな水をたくさん飲んで汚れを洗い流し、コーヒーやアルコールなど、負担になるものを避け、タンパク質のとりすぎに注意するなど、毒性のあるものを体内に入れる習慣をやめれば、万が一のときも我々の体内にある天然解毒機構が効率よく働いて、いつもきれいなからだでいることができます。しつこい食べ物やアルコール飲料をとりすぎる生活が続いたときは、思い切って短期断食でもやってみるといいでしょう。