TOPへ

私の夢は、いつも色付きです。匂いは付いていないのですが、
「ああ、いい匂い!」とか叫んでいるので、多分本人は「匂いを
かいでいる」のだろうと思います。
ま、それがなんや、と言われればソレまでですが(笑)。


さて。
私は、何か地方紙か地方局かのレポーターでした。
カメラマンさんと、誰かもう一人、3人で近くの河へ取材に行こう!
という企画があり、のったのです。
河にはカヌーが浮かべられ、ソレに乗った私達が絵をつくる、と
言うような感じだったと思います。

季節は新緑。柔らかい風と匂い。綺麗な水に、楽しい川下り。
途中まで、取材は順調でした。
しかし、ワンカットを取り終わった時点で、カメラマンさんがふと、
アタリの異常さに気付きます。
どうやら、下流の方で何かが起こったらしく、たくさんの報道カメラ
マンやレポーターが駆けつけようとしています。
私達は一瞬顔を見合わせたものの、ん、と頷いてカヌーを下流へ、
進めることにしました。
河はとても広く、カヌーを岸につけて、混雑の中を歩いて行くよりも
河にのったほうが早そうだったからです。


現場に着き、私達は取りあえず、手近のカメラマンから事情を
聞きます。
どうやら、河の岸にある亀裂から、骨が出たらしい。それは、小さな
子供のものから大人、女性のものまで種類が揃っていて、何とその数、
200あまり。
「この分だと、まだまだ出るね」と続けたカメラマンは機材を抱えて
行ってしまいました。
私達は呆然として、次に、その亀裂に行こう、と言い出しました。
亀裂は河からのアプローチの方がより自然で、近くまで行けるから、と。
強く頷いて、カヌーを漕ぎ、私は、その亀裂を覗き込みました。


遠くで誰かが、「ココは自殺の名所なんだなぁ」と言っているのが
聞こえます。
「別に死のうと思って無くてもねぇ。アレを覗き込んじゃうと駄目
なんだよ。
そこに、行きたくなるからねぇ」
「引きずられるんだよ。生きてるヤツがねたましくて、ソレでみんな、
連れてっちゃうんだなあ」
口々に、『その亀裂を、覗き込んでは駄目だ』と言ってます。
早く言えよ(笑)。

ソコに行きたい!!という、ものすごい誘惑に耐えて私が顔を上げると
「良かったなぁ」などと、周りの人達が言うのです。
もう少しで、また一つ、頭蓋骨が増えるところだった、と。
強い目眩がして、私はカヌーから落ちてしまいます。すると何故か、
手をつける深さに川底があり、ゴロゴロと石が転がっています。
…いいえ。

ソレは、全て頭蓋骨でした。
河の砂利と思ったのは骨が砕けたもの。石と思ったものは頭蓋骨。
大きな岩だと思ったものは、頭蓋骨同志がくっついて、出来た物でした。
ぞっとして辺りを見回すと、同行していた人達がいません。
しかし、後ろを屠り向くと、川岸にはまだカメラマン達がいて、こんなに
距離が近いのに、やけに遠い声で言うのです。
良かった、と。
また、骨が増えるのは、可哀想だからね、と。



そして、目が覚めました。


TOP