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今回の夢はオムニバス。5編から成り、
それぞれは私の目の前で起こった出来事です。
私の役割は「見ること」。
ま、時々、巻き込まれてましたけど(笑)。
「世にも奇妙な物語」ってあるやないですか。
あんな感じで。
印象に残っているのは3編ほどです。


第一編 「万引き」

私には、どうしても欲しい本がありました。
でも、手持ちのお金は少なく、今日明日で
現金が入ってくる予定もありません。
立ち読みして、お茶を濁していたのですが、
何日間かかけて読み上げた後(←迷惑な・笑)
にも、欲しいという感情は強まるばかり。
……手に入らないの??という疑問は、さらりと
積もっていきました。
どんな手を使っても。この本は手に入らないの?

ある日、私はいつものようにその本の前に立ち
ました。目の前には新書サイズの皮装丁、金文字
の本が棚に立ててあります。たった一冊だけ。

私は、そっと手を伸ばしました。事前にそろりと
周りを伺いつつ。大きめの鞄を手に持って。
その本に、手が掛かったか、かからないかの時に。

強い力で、私の手は押さえられました。「ちょっと、
こちらに来ていただけますか?の声と共に。

絶望。そして暗転。



第二編 「怠け者」

私によく似たOLさんが主人公で、職種はただの
事務員。…えっと、特殊能力ナシって意味で。

この方はとてもマイペース。自分の思うように
仕事し、勝手に休みます。んー、時々、ドラマに
出てくる自分勝手OL。そんな感じ。
当然、上司達には良く思われていません。
聞こえよがしに嫌味を言われたりしています。

私は、このOLさんの背後霊みたいな感じで
状況を見てました。ある程度はOLからも離れら
れるらしく、好き勝手気ままにふよふよと漂って
いるわけです。

ある日、OLさんは気分が悪くなった、と会社を
早退します。でも仕事はとても忙しい時期だった
ので、上司やお局にいろいろと言われてしまいす。
OLはそんなもの、気にも留めずに退社していく
のですが、いなくなった途端、すごい勢いで
彼女に対する悪口が飛び出すのです。

私はそれを聞いて、哀しく思うと共に彼女を
尊敬します(笑)。私には出来ないから。

オトコもオンナも均等に敵に回していた彼女は
とうとう、何処か、狭くて暗いところへ閉じこめられ
ました。
会社のお荷物だった根暗なオタクによって、です。
彼女は狭くて暗い場所がキライだったため、
閉じこめられた後も必死にドアを叩き続けるの
ですが、…うーん、業務用食品エレベーターか
なんかだったと思います。
誰も来てくれない。
それどころか、「いい気味だ」と嗤うのです。
上司もお局も同僚までも。
「いい薬なんじゃないのぉ?」と笑い、立ち去る
のみ。

私は、エレベーターの中に入れず、困惑して
周りを見回します。トーゼン、誰にも気づかれ
ないのですが。
そのうち、誰かが悪戯でエレベーターを動かします。
見たこと有る方ならおわかりでしょうが、あの
食品用は「有人厳禁」です。
上昇ボタンを押したヒトは、そんなことすら知らない
ようでした。あくまで好奇心で、悪戯心で押したの
です。

彼女は、ものすごい悲鳴を上げ、エレベーターは
ビルの屋上へ向かいます。
ゴツ、ゴツ、と堅い物を柔らかい物でくるんで鉄に
打ち付けるような音、その合間に切れ切れの悲鳴
が響きます。

周りにいた人全員は、顔色を無くし、声も無くし、
顔を見合わせています。
そのうち、お局が「あたしは知らないわよ。何も
見てないからね」と蚊の鳴くような声で呟きました。
その声にホッとしたように、上司や同僚が一斉に
「僕じゃない、僕は何も知らない」と言い立てます。


人殺し…と私は呟きました。
圧倒的な悪意に晒された絶望。そして暗転。



第三編

気が付くと、今度の主人公は女子高生でした。
第二編と同じ要領で、彼女についていた私は、
彼女がなにかを手に持ち、ビルの屋上にいること
を知覚します。
両手拳を合わせたぐらいの大きさのそれは、
テディ・ベアでした。が、何故だか布製のそれは
きらきらと輝いていました。

彼女は、憂鬱そうな表情で、屋上の手摺ごしに
下界を眺めて溜息を付いています。なにか悩み
ごとがあるようです。

そのうちふと、彼女は後ろが何やら騒がしいこと
に気が付きました。
屋上へと出るドアは一つ。けれどドアの反対側
には業務用食品エレベーターがあることを、
彼女は知っていました。知っていただけですが。
後ろを振り向くと、そのエレベーターの周りに
会社勤めらしき大人がたくさん群がり、ナニゴト
か揉めているようです。

のんきにしている自分に気がとがめ、彼女は
そっと、屋上から降りようとします。
その時、大人の人が自分に気が付きました。
途端に顔色を変え、彼女に向かって距離を
詰めて来ます。
そして、一人が気付いたと同時にその場にいた
全員が彼女に気付き、ぎらぎらとした目で
彼女を見るのです。手を差し出しながら。

恐ろしさのあまり後ずさりしながら、彼女は
「なんですか?」と訊ねます。すると大人は口々に
「それを寄越せ。それだ」と言いながら、手を
差し出すのです。

彼女はパニックに陥り、「あたし何も持ってません」
と言うのですが、大人達は聞きません。
人垣が崩れた向こう、食品用エレベーターに、
まだらのなにか、が落ちているのを彼女は見て、
それが血だらけの制服を着たOLだ、と即座に
気が付いてしまいます。
恐ろしさに大きく後退し、彼女は背中に屋上の
手摺を感じます。もう、後はありません。

その場にいた、ざっと10人ばかりのうち何人かが
彼女の視線から「死体を見つけられたこと」を
悟ったようでした。なお一層、目を血走らせて
彼女を追いつめてきます。
「それを寄越せ」と、それだけを言いつつ。

彼女は、自分の背中に当たる手摺の感触が
急になくなったことに気が付きました。
浮遊感。そして急激な落下感。

手に持ったテディはキラキラと輝いていましたが、
誰の目にも明らかに。

彼女は落ちていきました。

そして暗転。



さて。悪夢は以上です。
どうよ(笑)??


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