彼の非日常、変態心。
                       野崎
 今までのあらすじ。
 あまりもぼけたのび太の言動にいつしか愛を感じ始めたドラえもんは、自分が暴走する前に、
と行動を開始することにした(それが暴走やっちゅーねん)
 しかし今現在ののび太は精通もしていないため(…遅くないか?)、自分が彼をどうにかする
のは犯罪に近い(いやロボットの存在理由からすれば主人
が欠片も望んでない事をしようと思う時点でもう充分犯罪だろう)ため、”もしもボックス”で願いを
かなえる事にした。


 かなえられる願いは、それが現実離れしているほど時間的制限を受ける。彼に与えられた
時間は二日間しかなかったが、その代わりに何度でもその設定は使用出来るため(どうしてこん
な道具にそれだけの制約しか付けないで売ってるんだろう)、使用者が道具を使うことで繰り返し
現実を逃避することになる。
結果、次第に現実と夢との境目が分からなくなっていき、犯罪の増加を招く…それが未来で、
そろそろ問題となりつつある社会現象。
 ちらりと頭をよぎったそれらのことに無理矢理蓋をして深呼吸をする。
何度も想像していたからか(…してたのか)案外と簡単にその一連の呪文は口をついて出た。
 『もしものび太君が27歳で、僕と恋人同士で、僕が最高級セクサロイドだったなら・・・』
 ……そして物語の幕が開く。
 甘くて、残酷で、欲望の色をした日々が。



 「…ドラっ…もっ、」
 はぁっ、と熱い息をのび太が漏らす。汗で滑った眼鏡が鼻の辺りでもどかしいのを、手が使えない
ためにきつく首を振って戻そうとし、逆に勢いが付きすぎて今度は眉間に当たる。
 「のび太君てば、もう。何やってんだい」
 その様子を見ていたドラえもんがくすりと笑って、のび太の眼鏡を取り除いた。
ついでのように剥き出しのままの亀頭に爪を立てる。
 「やぁっ、」
 「あれ、痛い?」
 しゃあしゃあと言いつつ、今度はのび太の乳首に刺さっている安全ピンを引っ張り、思わず洩らした
彼の、声にならない悲鳴を楽しむ。
 「のび太君が悪いんだよ?言いつけ、守れなかったから」
 「む、…りっ」
 「無理な訳ないでしょ。僕がそんな無理な命令、したことあったっけ?」
 『今から一時間、声をあげないでね』
 それ自体は別に無理でも何でもないだろう。…でも。
 その言葉と共に始まったドラえもんの手の動きが悪いのだ。ただでさえ快楽に弱いのび太を後ろ手に
椅子にくくりつけ、脚まで固定した後にからかうように剥き出しのそこを撫でる。
 声ですら出してならないと言われれば一層、我慢の限界が来るのは早かった。
 「……っで、でもっ」
 「のび太君さぁ」
 急に声を潜めて、どらえもんは哀願するように自分を見ていたのび太の頬に手を滑らせた。
 それだけの刺激にも感じるのか、のび太がひくりとのどを鳴らす。
 どう見ても27歳には見えない華奢な(本人は貧相なと思っているが)体もそれに併せて動いた。
 「大体ね、内容がどうであれ約束を一方的に破ったのはそっちだって事、わかってる?・・・だからお仕置きを」
 するよ。
 耳元で囁かれたその口調の冷たさにのび太が驚いたようにドラえもんを見、彼の手に持った物にもう
一度、はっきりと身を強ばらせる。
 まち針よりももう少しだけ太くて短いソレは、過去に一度だけ体験した。勿論、その時の相手もドラえもん
だった。その時も彼はひどく怒っていて、今日のように自分の手足の自由を奪って、それで・・・。
「・・・すごいね。これがそんなにお気に入り?ここ、さっきから大きくなってるけど」
 楽しげに言いざま、ドラえもんが無造作とも言える早さでのび太の尿道に手にした物をを入れていく。
動いてはいけないと身をもって知っていても耐えきれない異物感と痛みに、のび太は初めて自分の体が
きつく椅子に括られていることを感謝した。
 くぅ、と喉が啼く。
 苦痛を訴える声と裏腹に堅さを増したのび太の息子に、ドラえもんがわずかに笑い、立ち上がってごそ
ごそとポケットを探る。
 ……じゃらり、と硬質な音を立てて現れた大振りなビー玉にのび太の目が釘付けになった。
 「昨日、テレビにウミガメが出てたよね」
 …いやだ、と今にも消え入りそうにのび太が呟いた。
 「何がいやなの。テレビの話だよ」
 今から行うとすることを想像してドラえもんはどこまでも楽しそうだ。対するのび太は、羞恥と恐ろしさに
とうとう下を向いてしまう。
 「じゃ、お仕置きはウミガメごっこだね」
 何がそれじゃ、なのか多分本人にしか分からない繋がりで、ドラえもんはビー玉をまたポケットにしまい、
にこやかに彼を戒めていた綿紐をほどいて、強ばってしまったのび太の手足を軽くさする。
 「幾つ卵、生んでくれるのかなぁ」
 ウミガメだし、浜辺に上がってくる所から始めようねと鼻歌混じりに腕の中の体をひっくり返す。
 尿道に刺さっている異物のせいで動けないのび太の尻に手を掛け、揃えた指を二本、口に銜えさせる。
 苦しがって痛がって、のび太の口中にはほとんど水分が無い。ドラえもんはそれを指の感触から知ると
作戦変更と指を抜き、代わりに先ほどから堅くなっていた自分のものを口元に押し当てた。
 「上も下も真ん中も、入れようね」
 そのまま待っていると、じきにのび太がおずおずとドラえもんのソレに舌を這わせる。
 空いた椅子に腰掛けて自分が楽な姿勢をとると、彼は再びビー玉を取り出して昨夜洗面所から失敬して
おいた乳液をまぶし、準備を終わらせた。
 「のび太君、ちょっと後ろ向いてくれる」
 のび太の髪を掴んで無理やり口からそれを引き抜く時には、ざらついていた口中に異物のせいか幾らか
水分が戻っていたらしく細い糸を引く。
 その光景が思いがけないほどドラえもんの劣情をそそった。
 「まずは一つ」
 のび太の尻を高く掲げさせ、後ろの蕾にビー玉を一つ潜り込ませる。
 慎重に埋め込んでいくとのび太から恍惚とした声が挙がった。その声につられてもう一つを埋め込もうとした
ところで不意に彼はあることに気づく。
 「このままじゃ取れなくなっちゃうね」
 ごめんね、配慮が足りなかったよ、そう続け、無造作に指を揃えてのび太の穴に突き入れ、既に入っていた
ビー玉を取り出した。同時に声もなくのび太がのけぞり、ぽたぽたと何かを零し、床を濡らす。
 「おやおや」
 その様子を見てドラえもんが片眉を上げる。羞恥のあまり泣きだしてしまったのび太の前髪を掴んで持ち上げ、
わざわざ目線を合わせて聞いた。
 「…のび太君てば、27才にもなってお漏らし?しかも何か白いけど、コレ」
 「っく…や、だぁっ…」
 「やだって、でもまだ出てるよ、ここ」
 まるで子供のように泣くのび太に向かい、呆れた顔と口調を作り、尿道に刺さっている異物のせいでとろとろと
しか射精できないソレを指ではじいた。
 途端、奇声を上げて硬直する彼を、ドラえもんは愛おしく思う。
 これでまたお仕置きの理由が出来たから。いつまでたっても与えられる快感に弱いから。相変わらず達するとき
の顔と声が絶品だから。……理由なんて幾つでも挙げられる。

 のび太がのび太である限り。
 
「本当に、いやらしいよねぇ」
 もう一度そう言って、不意に掴んでいた手を離す。
 ずるりとそのまま床に崩れたのび太が自分を見上げるのを待って、くるりときびすを返した。精一杯押さえて嗚咽
していた彼が堰を切ったように大声で泣き出す。
 その、まるで子供の時と変わっていない泣き方にドラえもんが弱いことなど、きっと先刻承知のハズ。こういうところ
だけ心得ているのび太に、教育を間違えたとドラえもんが思っていることは内緒だ。
 もしくは、まったくもってこれだから、人間には逆らえないと思っている事など。
 「泣きすぎる奴隷なんて僕は嫌いなんだけど」
 ぽつりと言うとなお激しく泣きだしてしまう。よくよく聞くと廻らぬ舌で奴隷じゃないもんと言っているようだ。
 あまりの馬鹿さ加減に目眩がしそうになるのをぐっとこらえる。
 「はいはい、そうだね。のび太君は奴隷なんかじゃないよね」
 半ば自棄になってビー玉をあきらめる。ちっと舌打ちしてそこらに出してあった真っ黒なローターを手に取った。
 軽く空中で振動させ、のび太の注意を引きつけておいてからいやらしくローターに舌を這わせる。
 ひく、と喉声を出して硬直するのび太の蕾に、今度こそ容赦なくローターを潜り込ませた。馴染みの玩具に抵
抗はあるものの、先ほどに比べてのび太はおとなしい。
 ローターのスイッチを入れると、のび太のうめき声がすすり泣きになった。
 「泣いてる暇なんて無いよ」
 言いざま、のび太の口元に自分の切っ先を押しつける。本日二度目のトライというわけだ。泣いているせいで
のび太がしゃくり上げるときの喉の動きが予想以上に気持ちよくて、ドラえもんが声を漏らす。

 一度目はのび太の口に、二度目は中に出そうかな。などと計画を立てているとぼんやりと、時間がないのに、
という考えが浮かんだ。
 少しでも長くのび太の中に入って、のび太を泣かして、まだ見たことのないのび太を見たいという強烈な欲求。
 ……馬鹿らしい。過去はともかく今も未来ものび太君は僕だけの物だ。時間なんてこれから幾らでもある。
 そう思おうとして漠然とした不安が胸をよぎる。
 これはなんなのだろう。そう、それがわからないからこその不安なのだ。
 ゆっくりと広がっている不安をタイミング良く止めるように、のび太がドラえもんのペニスに歯を引っかける。
 それをきっかけに、口から自分を外させるとお仕置きと称してローターが入ったままののび太の尻を平手で何度か
叩き、乱暴に機械を引き抜いて、少し緩んだのび太の蕾に押し入る。
 少なくともこうしている間は、不安など忘れられると言わんばかりに。
 自分の思考に蓋をした。



 そして彼は、夢から覚める。
 三秒ほど嘆息し、五秒ほど呻き、十秒ほど落ち込み、一分ほど迷った挙げ句。
 もしもボックスを叩き壊し、タイムマシンで原始に向かう。置き手紙などいっさい無しで。



 いつか壊れるだろう、いや、自分がきっと叩き壊すだろう平和な日々を、守りたくて。



 そうして、恐竜しかいない時代の大木に寄りかかり。
 非常停止スイッチを、引っ張った。