CTL-10-S50-30F-CL は当方が使用するに相応しい特性を持っています。Data sheet では負荷抵抗 1KΩ のとき結合係数 k は 0.98 ですので、
出力電圧 Eo=k・Io・RL/n=0.98x1x1x103/3000=≒0.327V で計算値どうりです。2A では
0.654V となりますが増幅段の増幅度が半端になりますので、0.5V とするとすれば、Data sheet には半端な負荷抵抗時の結合係数 k は記載されて
いないのですが 0.985 程度になると判断、計算では 762Ω 0.50038V となります。実測では 760Ω でした。
CTL-6-P は、Data sheet には負荷抵抗 10Ω のとき結合係数 k=1 と記載されていますので 1A では 出力電圧 12.5mV となるはずですが、
11.81mV しかでていません。メーカーで明示している使用電流範囲でも計算値と合致しません。2KW の電力計を製作し、仮に 20A で
メーカー発表通りの 0.25V の出力電圧が出ているとすれば、そして通常のように最大電流 20A で 2KW を表示するように合わせたすれば、消費電力 100W の
機器を測定した場合 95W 以下の表示をすることになります。5% 以上の誤差ということになります。これは ”まあ、いいではないか” の範囲を
超えています。 1A 以下では更に計算値から離れてゆき、10W の機器を測定した場合は 30% 以上も低く表示されます。
負荷抵抗 100Ω では波形歪みがあり、0.01A では出力電圧はなんと計算値の 1/3 以下となります。ヤフオクでは CTL-6-P は入札がありますが、
CTL-10-S50-30F-CL は入札がありません。他人の作ったものを真似する以外何も作ることのできない日本のアマチュアの哀れな技術レベル、
名前の知れたものは例え中身が良く分からなくとも良いものだと考える日本人の特性を見ることが出来ます。CTL-6-P に限りませんが、
このような者たちには他に
選択肢はないのですからオークションで競ることは馬鹿らしい。せいぜい落札価格を上げてやりましょう。出品者も喜びます。
TALEMAIN AS-100 は通常のカレントセンサと同じような形状をしておりまが、どのような使用目的のために作られたのか中身がどうなって
いるのか皆目分かりません。負荷抵抗 10Ω では 1A でさえ使用に耐えない目茶苦茶な波形ですし、1Ω では出力電圧が小さくなりすぎます。
負荷抵抗 10Ω と 1Ω 時の出力電圧の差が大きすぎます。通常のカレントセンサとは異なった用途のために作られたものでしょう。
松下のホール素子を用いたカレントセンサもあるのですが、後ほど時間がとれればアップしましょう。簡単に測定した限りでは直線性は良く
ありませんでした。
※U_RD に詳しい方より連絡があり、TAKEMOTODENKI CORPORATION の CTL-10-S50-30F-CL は U_RD の OEM とのこと。確かに同じ形状のセンサが
U_RD のラインナップにあります。センサを使用した製品ならともかく部品の OEM とは・・・。
製作・調整
乗算器 IC には安価な NJM4200 を使用しています。
小電力を計る場合(乗算器 IC を使用する場合)オフセット調整は必須です。例えば 5mV のオフセットは 200W Max の本器では 0.5W に相当します。
5mV もオフセットがあったら最近の待機時消費電力の少ない機器など計れません。最近の AV 機器の待機時消費電力はほとんど 1W 以下に
なっています。正しいオフセット調整が絶対に必要です。乗算器 IC を使用した雑誌の製作記事のように、二つの入力の積を割る分母にあたる電流を変えて
オフセット調整だなどというのは論外です。アンプの出力端子にかなりの大きさの直流電圧が出るので、増幅度を下げて出力端子の直流電圧を
小さくするようなものです。増幅度を下げれば確かに出力端子の直流電圧も小さくなるでしょうが、それではアンプとしては・・・。
信号がある場合のオフセット調整はどうするか? 乗算器 IC では片側に大振幅の信号があり、片側が無信号の場合、出力には大振幅信号の
無信号入力側のオフセット倍された信号が出てきます。データシートを参照されたし。直流でも使用できるのですから当然ですね。こんな雑誌が
高い価格で堂々と売られているのです。雑誌社も、読者の技術レベルなんてそんなものだし、そもそもまともな機器や測定器を自作しよう
なんて者はおるまい・・・という認識でしょうか。また適切なオフセット調整回路の設計も重要です。オフセット調整回路の設計がまずければ
電源を入れてから表示が 0 になるまでに何分もかかりまずが、適切な回路であれば電源を入れてすぐに 0 になります。IC メーカーの
データシートに載っている応用例が必ずしも適切とは限りません。注意が必要です。当然すぐに安定するオフセット調整回路を使用して
おりますが、タダでは発表しません。殆どの人はできないでしょうね。IC メーカーでもデータシートの程度なのですから。
アナログ回路はある程度のノウハウや経験も必要となります。ディジタル回路のように誰がやっても(バカでもチョンでも)配線の間違いがなければ
ほぼまともに動作するというものではありません。そこがアナログ回路の難しさであり面白さでもあるのですが。
直流電圧出力用のオペアンプの入力を乗算器 IC から外します。このため乗算器 IC との接続はパターンでなくジャンパー或いはビニール線が
良い。オペアンプの出力が 0mV になるように調整する。乗算器 IC の AC オフセット調整後、乗算器 IC の AC オフセット調整でずれた DC オフセットを
オペアンプのオフセット調整で合わせるのでここで調整しても仕方ないのですが、オペアンプのオフセットを 0 にしておけば乗算器 IC の
AC オフセット調整でどれ位ずれたか分かります。オフセット調整部の抵抗は金属皮膜でなければなりません。炭素皮膜では使い物になりません。
またオフセット調整部の抵抗値の選択は半固定抵抗を含め極めて重要です。この辺は腕の見せ所です。本器では風の当たらない容器に入れた
場合、出力端に現れる DC オフセット変動は長時間電源につないでいても 0.2〜0.3mV 程度です。従って 3 1/2 桁表示では 1 カウント数えません。
乗算器 IC のオフセットの正しい調整法が公開されるのはおそらく日本初と思います。
オペアンプの帰還抵抗に抱かせているコンデンサを外し、代わりに 101〜102 程度のコンデンサを接続する。オペアンプの入力を乗算器 IC に戻します。
乗算器 IC の片側の入力に設計値の信号を加え、オペアンプの出力にオシロスコープを接続する。オシロスコープを見ながらもう一方の
入力側のオフセットを調整し出力信号が最小となるようにする。今度はオフセットを調整した側の入力に信号を加え、最初信号を加えた
入力側のオフセットを調整する。これを 2〜3回繰り返し、いずれの入力側に信号を加えた場合にも出力にあらわれる信号洩れ成分が最小であることを
確認する。信号の接続を外してコンデンサを元に戻し、乗算器 IC の AC オフセット調整でずれた DC オフセットをオペアンプのオフセット調整で吸収する。
乗算器 IC のオフセットが正しく調整されていないと出力信号に歪が生じます。これはオペアンプの帰還抵抗に抱かせているコンデンサを外し、
両方の入力に同じ信号を加えればオシロスコープで観測できます。
乗算ですから2倍の周波数の綺麗なサイン波でなければなりません。オフセット調整前(オフセット調整 PIN をアースした場合)出力信号は、
こりゃダメだという位歪んでいます。なおオペアンプ出力の直流電圧で乗算器 IC のオフセット調整はできません。
AC オフセット null 点(AC 信号の漏れ成分が最小になる点)と DC オフセットの null 点がまったく異なるからです。本器では乗算器 IC で
使用する金被抵抗は全て 100KΩ、4 1/2桁のテスターで最下位桁まで合わせたにもかかわらず、オペアンプ出力でなんと 125mV もの直流電圧
(因みにこの時点ではオペアンプの帰還抵抗も 100KΩ)が出ました。
あまりにもひどい。なんとかならないものですかね。
カレントセンサの負荷抵抗、AC 分圧部の抵抗、増幅段の増幅度を決定する抵抗は誤差の少ない金被抵抗を更に選別して使用しなければなりません。
そして必要以上に半田付けの熱が伝わらないようにする配慮も必要です。特に 1MΩ 等の高抵抗値の抵抗は半田付けの熱で大幅に抵抗値が
ずれてきます。
カレントセンサのリード線・AC 分圧部の抵抗を接続する前に、カレントセンサの出力増幅部の入力と AC 増幅部の入力を共通にして(力率 1=100%)
オシレータを接続し出力電圧を合わせます。オシレータの出力電圧、本器の場合では 0.5000V または 0.2500V、が電力計の精度を決定しますので正確で
なければなりません。ヤフオクで販売しているような安物のテスターでの測定ではダメです。カレントセンサを接続して電流(例えば 1A)を流し、
カレントセンサ増幅部の出力電圧が設計値であるか確認します。綺麗な正弦波の出せるインバーターがあれば出力を 100V に合わせ AC 増幅部の
出力電圧が設計値であるか確認します。または AC 分圧部の抵抗の電源側を外して直流定電圧電源より 10V 程度を加えて確認します。
インバーターも直流定電圧電源もなけれぱ?、AC 分圧部の抵抗を半田付け後、抵抗値が設計値通りであるか確認すれば良いでしょう。
◎AC 電源電圧は 100V でなく通常 103〜106V 位あることに注意して設計しなければなりません。雑誌のいろいろな
製作記事でもこのことを忘れているのが多いようです。本器では電源電圧は 108V までの変動を考慮しています。
基板パターン

サイズは約 100x70mm です。表示部は同サイズの別基板。電源は AC100V を直接整流して +15V、-15V を作っています。
オフセット調整部については基板パターン図に全ての部品は記載しておりません。(^^♪
表示部は ICL7136 と液晶表示器 SP521PR を使用して基板から作製しておりますが、この基板パターンは発表しません。基板パターンの作製が
表示部作製のウエートの殆どを占めると考えるからです。ということで表示部の回路図でも発表しときましょう。
表示部

デジタルパネルメータの完成品を使用すれば簡単で良いのですが、当方が探した限りでは電源のグランドラインと入力の
INLO を共通にできる LCD タイプはありませんでした。006P 等の電池駆動のみを考えて設計していることと、英文データシートの読解力
不足でしょうか。即ち IC メーカーが発表している回路例をそのまま使用するしかない技術力です。電池駆動のような単電源使用であれば
IC メーカー発表の回路例をそのまま使用できます。 LCD タイプのデジタルパネルメータを買ってきてテスターを作ろうという者はまずいない
でしょう。LCD タイプといえども機器に組み込んで使用することが多いのではないかと考えます。機器に組み込んで使用するのであれば、電源の
グランドラインと INLO が共通にできた方が良いのは言うまでもありません。本器では電源のグランドラインと INLO が共通にできなければ使用できません。ということで作成しました。
どのようにすれば電源のグランドラインと入力の INLO を共通にできるかがお分かりと思います。2SK336 は MOS FET です。安価な MOS FET 1個で
安全に DP が点灯できます。これの発表もおそらく日本初。秋月のキット取扱説明書の CD-ROM には、液晶焼き付きを起すため本来は正しい方法では
ないのだか、簡易的に TEST PIN に接続しろなどと書いてあります。液晶焼き付きを起こしても小数点を動かさないのなら良いだろうと。
一方ではテスターでのチェックも不可と書いておきながらです。キットを購入した人は当惑したことでしょう。ホームページをわざわざ作成する
のであればこのような内容でなければなりません。なお 2SK30A 等の接合型は使えません。
安定度・直線性極めて良好、ロールオーバー誤差観測されず。電源電流は+側 2.27mA、−側 2.17mA 。
確度
100W とか 150W の確度は良くて当たり前、悪ければ設計・調整がなっていないということです。上に書いた調整・確認が正しく行われていれば
極めて高い精度が得られます。ということで、カレントセンサを使った電力計で難しい微小電力を調べましょう。負荷は抵抗、これがベストです。
2W とか 3W で適当な抵抗値の手持ちがないため 120KΩ 1/2W を 6本パラにして 20KΩ としました。100V に 20KΩ で 0.5W となるはずです。
結果 0.55W(4 1/2 桁で測定)、この時の AC 電源電圧は 105V です。 従って 0.5 x 1.05 x 1.05≒0.55、この計算は説明しなくとも
お分かりですね。電気の入り口のオームの法則です。これがすぐに分からず少し考えなければ分からないようであれば電気はやめましょう。
素晴らしい。カレントセンサの性能と正しいオフセット調整等の結果です。
23rd Jun 2008
なお、この IC は温度特性が良くありませんので、調整は室温 (気温) 25℃位でする必要があります。
25th Aug 2008
試しておりませんでしたが、50KΩ の抵抗を負荷とした場合正しく 0.2W を表示します。抵抗値は色々あるのですが、0.5W 程度まで
確認できれば良かろうと現在迄試していませんでした。大したものです。個人で製作した電力計が 0.2W を正しく測定できるとは・・・。
その内気分が向いたら 0.1W も確認します。