初段 FETには High Frequency Amplifier用の Canタイプ Dual FET ♂♀♂♀ を使用しています。この FETは
データシートにも 謳われていますか、非常に良くバランスが取れています。更に特筆すべきは歪率の低さです。
初段ですから歪率が低いということはトータルの低歪化のために有利です。
また CAN封入の Dualタイプは DCドリフトの面で非常に有利です。これは常識的に分かりますね。どちらか一方の
素子が外部から熱的影響を強く受けるということは考えずらいのですから。
2SK389 BLはゲート漏れ電流が大きく、ドレイン電圧を 5V以下に下げないと使い物になりません。周波数特性も
それ程良くありません。中級オーディオ用に作られているようです。うまく熱結合すれば 2SK389よりも 2SK30の
方が良いかも知れません。ただ 2SK389は gmが大きく、素子が熱結合されているようで直流安定度は良好ですので、
歪率など関係ない、自分が良いと思えばそれで良いというような輩が作るオモチャアンプには良いかもしれません。
2SK109もありますがデータシートでは 2SK389と同じような特性ですので本機では試しておりません。gmは実測で
♂♀♂♀ が 2mS強、2SK389BLが 10mS強、2SK109が 6mS (Id=2mA)。
2SK389BL (赤) の周波数特性だけを見ると、"まあまあでないの" と思うでしょうが問題は位相回転です。
周波数特性が落ちるということは位相回転が大きくなっているということなのです。青は 2SK109 (Av=5.4)。
因みに ♂♀♂♀ では 10MHzでもフラット。図の回路は実際の回路ではありません。
◎ヤフオクで当方のHPを参考にしたと思われる状況が見られましたので注意しておきます。
当方が良いという部品を使用しても必ずしも良い結果が得られるとは限りません。その部品に合った回路
構成が必要ですし、トータルで良い結果を得るためには実に様々なことを判断して設計する力がなければなりません。
例えば 2SK389 BLの使用を前提に設計された回路に ♂♀♂♀ を使用しても特性はかえって悪くなるでしょう。
ヤフオクもこのケースだと面白いのですが・・・。
他のまともな機器は作れもしないないのにオーディオアンプだけは作りたがる輩が多く困ったものです。
♂♀♂♀ の名前は伏せることにしました。(^^♪
位相回転
各段での位相回転は最小限に抑えなければなりません。位相回転が大きいと安定に NFBをかけられず、多量の
位相補償をして NFBをかけたとしても周波数特性にピークが出たりし、音質に悪影響を及ぼします。曰く、FM放送
で男性アナの声が何となく歪っぽい・・・とか(当方のホームページは参考になりますね。何度も書きますが、
わざわざホームページを作成するのであればこのような内容でなければなりません)。位相回転が大きいと
いうことは周波数特性が悪いということであり、悪い特性のものに NFBをかけて見掛けの特性を良くすると
いう手法では良好なアンプは作れません。元々良好な特性のものに NFBで更なる特性の向上を図るという
考え方でなければなりません。
本機では、オープンループのゲインは極めて高いですが、NFB用の帰還抵抗にパラに接続した周波数特性調整
(設定)用のコンデンサ以外は位相補償は1ヶ所のみです。オープンループでの周波数特性が良ければ、安定に
NFBをかけるためのスタガー比も十分な値をとることが可能となります。
ノンカットオフ回路
発表するべきかどうか。
出力段 TR
出力段には現在直線性の良い 2SA1095 - 2SC2565を hFEを更に選別してパラで使用して
います。図は 2SA1095のコレクタ電流 - hFE特性(東芝のデータシートから)です。非常に
直線性がよろしい。ですが元々の特性が良好なため 2SA1227 - 2SC2987を一石ずつ使用していた時と比べ特性の
向上はごく僅かです。
その他
回路してはごく一般的な差動増幅2段ですが、定電圧回路は別としてチャンネル当たり TRだけで 23石(FET は
別)使用。全ての部位で位相回転を最小限に抑え、低歪とすることを考慮しています。多くの先人の努力もあり
現在の回路はほぼ完成の域にあります。上下対称回路とか奇を狙っても定電圧出力アンプである限り、得られる
結果はほとんど変わりません。それよりも歪率の低減を図り DCドリフトを押さえる方が先でしょう。
出力段はともかくドライバ段までは電源を定電圧化しなければなりません。
プリント基板は銅厚 70μのガラエポを使用。