三菱 HV-V1000






 1990年頃発売された名機です。ピクチャーサーチ時ノイズバーのない綺麗な映像は特筆ものです。
 今でもヤフーオークションに時々出品されており、完動品では結構良い値段が付いているようです。
 消耗品キットの部品を交換しただけで今年7月まで良好に動作しておりました。と言っても使わない 時は何ヶ月も全く使わないという使用状況で、待機時消費電力10W(1日240W、月7.2KW)分の電気代を 電力会社に差し上げている感が強い機器です。
 専らVHSテープの再生で、録画はしたことがあるかないか記憶にございません。地上波以外の メディアも出来て、昔に比べ放送チャンネルはずっと増えているわけですが、ここ数年録画して 残しておきたいという番組は殆んどありません。

 HV-SX200もありますが、HV-SX200では非常に画質の悪いテープで所々映像が切れてしまうため、 画質の悪いテープの再生はHV-V1000でなければなりません。購入してすぐに判明した症状のため、 三菱のサービスに調整に出そうかと思いましたが面倒なため結局出しませんでした。症状の出る画質の 悪いテープを一緒に持ってきて下さいなんて言われても困りますし・・・。そのうち何か障害が出たら ついでに調整してやろうと考えています。HV-SX200も評価の高いVTRですが、 ノイズレスサーチは別にして、通常再生に限定しても私個人の判断ではHV-V1000に軍配が上がります。

 ただ消費電力が大きいのが欠点で、HV-SX200では17W待機時0.4W(省電力モード)なのに対し、HV-V1000 では45W待機時10Wも消費します。このため電源部の発熱がもの凄く、テレビ台の中に収納しての 使用では、夏期電源部が相当な高温になります。これは今回電源部が故障して内部を触り、取説を見て 初めて解ったことで、私もテレビ台の中に収納しておりました。動作時、上蓋を外しておいても、 アルミの放熱器は火傷するのではないかと思うほど発熱します。おそらく放熱器に20W程度の損失を 与えています。電源トランスは待機時でも、相当発熱します。どうも電力会社を喜ばせるような設計が なされているようです。

ご注意

 ビデオも最近は高集積度ICの使用で回路図の枚数も少なくなっておりますが、当初(私が最初に買った SONY SL-J1)の回路図はまさに膨大でした。極めて複雑で高度な電子機器です。修理を行うには弱電の 高度な知識は必須で、回路図も読めなくてはなりません。ある程度の規格表も必要になります。手が 器用なだけでは出来ません。半田付けの技術も熟練の技が必要で、下手をすると基板のパターンを 剥がしてしまったり、他のIC・TR・部品を壊してしまったりします。

 本機の電源部コンデンサを交換しているHPがいくつかあるようですが、故障の原因は電源部コンデンサ とは限りません。通常の機器の修理ではオシロと格闘し、結果的に異常のない部品を交換したりして 無駄骨を折りながら、何日もかかってやっと原因を見つけられることも多いのです。
 インターネットだけを見て修理は出来ません。 軽い気持ちでなさらないよう、どうしてもなさる場合は、全て御自分の責任でお願いいたします。


 本年7月か8月のはじめ、タイマーは表示しているのですが電源が入らなくなりました。
これは電源制御部の異常と判断し、開いて電源部基板を取り出してみました。

 部品面からは殆んど異常は見られないのですが、裏返してみるとパターン面の下部に黒い タール状の物質が帯状に付着しておりました。シンナーで拭いてみると画像のような状態。

 パターン3本が腐食して完全に切れておりました。そこで部品面を良くみてみると、電解コン デンサC918(35V2200μF)が液漏れしていました。電解コンデンサが液漏れしても、基板の 取り付け方、電解コンデンサの取り付け方、待機時に起きたか、動作時に起きたか等により、 どのコンデンサが液漏れしているのか殆んど分からないこともあります。逆に基板が水平に 取り付けられている場合等には、コンデンサのリード線まで腐食されていることもあります。 (数年前修理した富士通のBSチューナーBST-250では腐食され、リード線が1本なくなって おりました。)  腐食されている部分を避けてパターンを ビニール線でつなぎ、C918を交換して完了というところですが、C927(25V100μF)の頭部が 膨らんでいたため外してみると47μF位に容量が低下していたため交換、更にR905(56Ω)が 焼けてカラーコードも読めない状態だったので外してみると75kΩ位の抵抗値を示していた ため交換。これは基板も穴が掘れるほど焦げており、常時相当の発熱があるものと判断し、 1/4Wにしました。更に整流用ダイオードD906(1SS82)が、素子部分は辛うじ覆われているものの、 ガラスが欠けているため200V1Aのものと交換。
他にコントロール基板の50V22μFの頭部が膨らんでいたため、外したところ容量低下を 起こしていたため交換。
 これで電源も入り動作するようになりました。
 動作チェックのため、S-VHSのテープをかけたところ(HV-V1000にかけたのは初めてかも知れ ません)、音声は出るが映像は真っ暗。仕方なくシグナル基板のハイブリッドICを外し、 表面実装型コンデンサ  35V4.7μFを外してみると0.1μFとほぼ完全に容量抜けしておりました。 "ご注意"で半田付け の技術について書きましたが、この表面実装型コンデンサを綺麗に外せればかなりの技術 があるかと思います。自信がなければ止めておいた方が無難です。半田ごてを長く当てすぎたり 他の表面実装の部品にこて先を滑らしたりすると、場合によっては基板そっくり交換しな ければならなくなります。
 35Vなどという耐圧のものを使用しておりますが、シグナル 基板にはそんな高い電圧は供給されていないため、25V4.7μFのOSコンデンサと交換。 OSコンの足は短くして取り付けます。OSコンは小型で高さも低いため、表面実装型コンデンサと置き換えるにはうってつけです。 またESRも通常の電解コンデンサと比べ極めて低いため、この回路に使用するにはまさに これしかないというコンデンサです。ハイブリッドICの基板の振動防止(電解コンデンサの 振動防止と思われる)のためフィルターにシリコンボンド様のもので固定されておりますが、OSコンは 内部構造が固体電解質と有機半導体のため、固定する必要はないと考えます。なおハイブリッド ICの基板は9本ピンですが、半田吸い取り線を使用し簡単に外すことが出来ます。
 回転ヘッドの基板に付いている表面実装型コンデンサ50V3.3μFは異常ありませんでした。

後書き

とにかく発熱がもの凄い。これだけ発熱すればどんな電解コンデンサを持ってきても、 使用環境によっては液漏れすると思われます。
今回の修理で発熱の凄さが分かり、もうテレビ台の中に収納することはありませんので、 しばらくは気持ち良く動いてくれることでしょう。


参考





- SEP 5th 2004 -








既製品修理に戻る

趣味の小部屋に戻る

トップページ