FM受信機の適切な周波数での RFトラッキング・IF同調調整等のため製作したものですが、
SEPARATION・DISTORTION・PILOT CANCEL等を除くかなりの調整は、発振器が無くとも放送電波を
利用して行うことが出来ます。昔は放送電波で SEPARATIONや PILOT CANCELの調整も出来た
のですが・・・。現在は 24時間放送しているので PILOT CANCELの調整も無理でしょうね。
敢えてジェネレータでなくオシレータとしています。
KENWOODの KT-1010Uが歪っぽい (と言っても低歪アンプで分かる程度、通常のアンプでは
ほとんど分かりません) ため 10年位おっぽってありました。そのうち気が向いたら直してやろうと
考えていたのですが、今回不要な機器を色々処分したついでに上蓋を開けてみました。
KT-1010Uをおっぽって以来 KT-1010を使用していますが、KT-1010Uの方がどうも少し音が良い
のです。そこで取扱説明書を引っ張り出してスペックを比べてみました。なんと KT-1010Uの
方がスペックが良いではないか。ほとんど同じだろうと考えていたのですが、後から発売されて
いるため少し改良されているのでしょう。これはどうしても直さなきゃいかん・・・。
FM受信機を触るのは、FM放送の初期に球で受信機を作って以来となります。当時は IFTのコイルも
自分で巻きました。球のソケットにシールド板を付けたりして安定動作させるのに苦労したものです
(にやにやする人もいるでしょうね)。
このように昔球を使用し、テレビの修理をしてきて球を知っているからこそ球を使わないのです。
これはメーカーも全く同じでしょう。テレビの水平・垂直回路では球の劣化はラスターの振幅・
直線性の悪化等で
すぐに分かりますが、音声増幅では測定してみなければまず分かりません。このような問題が
あるからこそメーカーは球を早々にあきらめたのです。さもなければ球の製造を止めるわけ
ありませんね。
このような症状の場合まず疑わなければならないのは、電源部を含めバイパスコンの容量抜けです。
調べたところ発熱部に近い電解コンがニケ完全に容量抜けしていました。更にキャパシタンスメータで
見ていると次第に容量が低下していくものが一ケ。いずれも液漏れや頭部の膨らみはありません。
経験上外観から分かることは少ない。ド素人がネットで電解コンの液漏れを見つけて、セット内部を
調べたところで残念ながら分かりません。どのような部位に使用されているか、どのようなところに
配置されているかで判断しなければなりません。
これらを交換して歪っぽさは完全に解消されました。不具合がある場合必ず原因があります。その
原因を取り除くのが修理です。
発熱する部品の近くに配置されていたり、大きな電流が流れる用途に使用されていなくとも、
古くなると電解コンは容量抜けや容量低下が起きてきます。測定環境や
スキルを持たないド素人が、ヤフオクで必死になって競って落札し喜ぶのは早計です。
歪が出ていても新品の時の音を知らなければ、分からないこともあるでしょう。
アンプにしても同じです。総合アンプではいくつもの切り替え
スイッチを使用しています。古くなるとこれらの切り替えスイッチの接点が酸化し接触抵抗が増えて
しまいます。そのため、明らかに接触不安定のような状態にまで至っていなくとも、信号を入れて
レベルメータで観測すると、出力レベルがふらふらと変動しています。つまり大きく歪んでいる
ということです。昔の安物アンプでは接点復活剤を噴射しやすい切り替えスイッチが使われて
いましたが、それ以外は接点復活剤を噴射しようもない切り替えスイッチも多く使われています。
切り替えスイッチを取り外してバラし (これは大変) 接点を清掃するか、セットごと接点復活剤に
浸すしかありません。(・・? セットから取り外しバラしていない切り替えスイッチが手元に
あります。そのうち接点の酸化状況を画像でお目にかけましょう。
歪のあるアンプに歪の出ているチューナー等をつないで、高級品だから良い音だと喜んでいる・・・、
お笑いものですね、ただ一言バカ。新品の安物コンポの方が良いかも知れません。
メーカーはその通りですと言うでしょう。しかしヤフーは、出品が増えかんたん決済等の利用者
が増えて金になれば良いんだ、余計なことは言うなと言うでしょうね。
ド素人がネットで調べて疑うことに半田クラックや半田付け不良があります。しかし半田付けの
不良が原因で起きるトラブルは全体の僅か数パーセントと言って良いでしょう。
IF帯域 NARROW WIDEの切り替えが出来ない
10年前からそうだったのか今回ケミコンチェックで駄目にしたのか分かりませんか、NARROW WIDEの
切り替えが出来ない (後から考えるに、歪っぽい上に NARROW WIDEの切り替えが出来なくなった
ため使用しなくなったように思う)。
注 - NARROW WIDEの状態は TC9147BPと同じケミコンでバックアップされている。バックアップ用
コンデンサの交換は注意が必要。
上は当方で基板から起こしたものです。メーカーも真っ青の分かりやすい回路図ですね。
2SC945のエミッタはフリップフロップ D4013BCの Q出力に接続されています。Q出力が LOWになると
2SC945 2SA733が ONとなり 2SA733のコレクタ電圧が上がって、WIDE用の PINダイオードに電流が
流れます。このとき 2本の 100Ωへの供給電圧は 0となります。
Q出力を見てみると NARROW WIDEの切り替えスイッチに反応せず約 2Vで一定。Q出力は
反応しているため D4013BCの不良。TC4013BCに交換し復旧 (\47. 共立エレショップ)。
なお L8の調整は IFTと同じ。WIDEですので調整はブロードです。VR1は WIDEゲイン調整。
NARROWと同じレベルになるように合わせます。
Buffer
RF段に同調回路が一段多い。んーということで回路図を起こしてみました。
OSC出力を Bufferを介して Mixerに供給しているようです。まあこれは無ければ無くとも良い
のですが、設けることにより OSC出力の CN比が上がり主に隣接局の混信に強くなります。
調整ですが、Mixerへの出力の 100KΩにプローブを当てると同調周波数が大きくずれて
しまいます。通常 Mixer側の入力容量は数PF、3〜5PF位のものでしょう。仮に 5PFとすれば、
7PFとの直列ですから約 2.9PFとなります。この 2.9PFが Bufferの同調回路にパラに入っている
わけです。
プローブの入力容量は小さいもので約 11PFあります。プローブを付けると (7x16)/(7+16)ですから
約 4.9PFとなり、同調回路の同調容量が約 2PF増えることになるのです。この周波数で 2PF増えると
同調周波数は大きくずれてしまいます。調整したと思っていても実は大きくずらしているのです。
この方法で調整を行う場合、対策としてオシロで観測可能な最大に近い抵抗を介して
測定しなければなりません。
ベストな調整方法は、LA1231Hの出力で確認することです。Mixerは乗算回路であり、入力信号
fsと局発信号 flが乗算されて fs±flが生成され、そのうちの fs-flを中間周波信号として
取り出しています。従って入力信号レベルが低ければレベルメータの指示が小さいように、
局発信号 flのレベルが低くてもレベルメータの指示は小さくなります。
この項の文章のみならず、内容の流用も不可。
測定器メーカーの回し者か何か知りませんが、素人に近い輩が高価な測定器を使用して FM受信機の
調整を行っているページがあります。しかし電気回路に対する知識が無ければ、まともな修理や
調整は出来ないのです。
KENWOODによると、サービスマニュアルにも Bufferの調整の記述は無いそうです。まあ
大きくずれなければ受信動作に影響は無いからあたらなくとも宜しいということでしょうか。
FM DETECTOR
回路図を起こしてみました。はっきり言って FM DETECTOR部の回路図を起こすのは大変です。
メーカーで回路図をくれれば苦労しないですむものを・・・。メーカーの技術の人間は別として
アマチュアではまず無理でしょう。こんなことが出来れば自分の実力に自信を持って宜しい。
メーカーで回路図を出さなくなった理由は、内部をいじったものの手に負えなくて、メーカーに
持ち込むバカが増えたからだそうです。まあこれだけが理由とも思えませんが、理由のかなりの
パーセンテージを占めるのは間違いないでしょう。完全に修理や調整を出来る自信が無ければ
(このような回路図も起こそうと思えば起こせる人でなければ) 内部を触ったりしないことです。
修理出来る人が迷惑します。
回路図を起こしたことにより、DISTORTION調整用 VR8が左に回しきってあっても問題無いことが
分かりました。また調整の際どこで確認したら良いかすぐ分かりますね。
L12 共振回路ではありませんので通常の共振周波数はありません。コアを抜いた状態
から最も入れた状態まで動かしても何も変わりません (バランスが崩れるためか、正確には歪率が
僅かに変わります)。さわらない方が良いでしょう。
L13・VR8 ド素人でも分かるような調整です。素人に近いような輩の HPがありますので
それらを参照されたい。
バリキャップ制御電圧
バリキャップ制御電圧 (こればかりはメーカーに聞かないと分からない) は 76MHz 3V、90MHz
25Vだそうです。TP8〜9で測定。
補修部品
ケンウッドによると KT-1010Uの部品は何も無いそうです。発売してから 20数年
と何度も言われてしまいました。まあ補修部品の保有義務は 8年ですから無理もないか・・・。
そのため切れていたムギ球の代わりに、白色高輝度LEDに光拡散キャップを被せて使用していますが、
どうも不自然。やはりムギ球で設計したものはムギ球でないといけません。しかしムギ球が入手
出来たとしてもムギ球に被せるキャップの入手は不可能でしょう (劣化していて外そうとしたら
ボロボロ)。
また LEDを使用するため整流回路を追加すると、出力にスパイクノイズが乗る恐れがあります。
十分な注意が必要です。
ムギ球が切れてしまったら点灯時の電圧が分からないと思いますので載せておきます。
CH表示 約 8.7V 直径 4mm ガラス内側にゲッターの付いた特殊なもの。
電源表示 約 8.7V 直径 4mm。
PROGRAM MODE表示 約 7.5V 直径 4mm。
ブロックダイアグラム
これだけ年月がたつとさぞかし RFのトラッキングはずれていることだろう、調整せねばいかんな、
しかしこれから先数度しか使わないような測定器を高い金を出して買うほどおめでたくはありません。
修理屋でもやるなら別だが・・・、よしんばヤフオク等で安価に入手出来たとしても保管場所に困り
ます。そこで RF部だけでもと簡単に製作したものです。VCOの制御信号に重畳することにより FM変調
することも可能ですが、現在のところそこまでやる気は無い (やる気になれば歪率計の超低歪発振部も
使うことも出来るのですが、FM受信機の調整にしか使わないものにそれ程熱を入れても仕方ない)。
基準周波数部
原発振に 12.8MHzの TCXOを使用していますが腹が立つほど安定度が悪い。セットの上ケースを
付けなくても、電源を入れてから安定するまでに、気温にもよりますが TCXOの発振周波数は 8Hz位
変動します。90MHzでは約 7逓倍されますから、周波数変動は 8Hzの 7倍になるということです。
簡単に測定した限りでは 10MHzの水晶発振器の方が安定度は良いように思えます。ただしこちらは
発振周波数が 20Hzずれており調整出来ない。90MHzでは 180Hzずれることになります。10ケ位購入して
最も 10,000,000Hzに近いものを使う? 10ケ全部かなりずれていたらどうする?
何か良いものはないかと探していたところ、
THERMO CONTROLLERの測定例の 8MHz X'talと同じメーカーの 10MHz X'talがヤフオクに出ている
のを見つけました。駄目だったら仕方ないと思いながら購入。テストしてみると、・・・素晴らしい。
10MHzでは周波数変動は全くと言って良いほど観測されません。9逓倍した 90MHzでも、昼夜の気温差
約 10℃で周波数変動は僅か数Hz。これなら周波数変動を気にせず使うことができます。
しかし何故メーカーによってこうも違うのか。X'talの温度特性はカットによって異なると
いうが、ならばどうしようもない温度特性の X'talを販売しているメーカーは、何故良好な温度特性の
カットのものを販売しないのか。他のメーカーの製品を購入して調べ、同じようなものを出すのは
日本メーカーの得意とするところではないか。
技術力なんか無くたって金になれば良いんだ、金儲けして世の中をうまく渡れればそれで良いんだ、
技術力のあるメーカーの製品なんか糞食らえだ・・・ではアマチュアと変わらないではないか。真に
良いものを作りたいわけではなく、皆がやっていることと同じことをして安心したい、世の中をうまく
渡りたいというアマチュアと変わらないではないか。
簡単なインバータを使用した発振回路に及ばない特性のものを作って、何が TCXOかと言いたい。
TCXOを作るのも簡単ではないでしょう。構造は簡単ですが定数の設定にかなり時間がかかるものと
思われます。時間と労力をかけて TCXOを作ったのに簡単な発振回路の特性に及ばない。悲しい
ではありませんか。そんな会社潰してしまえと言いたい。
メーカー関係者でご意見のある方は、社名・所属・名前を明記しメールを頂きたい。
VCO
発振コイル・バリキャップは不要の FM受信機から取り外したものを使用しています。バリキャップは
低電圧 (大きな容量域) では Qが低いため、ある程度の電圧で使用しなければなりません。本器では
90MHzで約 22.0V、75.9MHzで約 8.5Vとしています。
プリスケーラ
TC9198Pは最高使用周波数が 15MHzのためプリスケーラを使用しなければなりません。不要の FM受信機
から取り外した東芝の 1/30 or 1/32 ECLプリスケーラ TD6104Pを使用。モトローラの 1/10 ECLプリスケーラを
購入したが消費電流が大きすぎて使えず。このため 76.0MHzの出力は出来ません。現状では 75.9MHzまたは
76.2MHzとなります。83MHzは放送バンドのちょうど中間ということで使用されており、82.8MHzでも
83.1MHzでも全く問題ありません。
スワローカウンタ
スワローカウンタ形式とすれば上記のような問題は無くなりますが、76〜90MHzという広い周波数範囲
でスワローカウンタ形式を実現する方法をまだ掴んでおりません。76〜80MHz或いは 80〜84MHzという
ように 4MHzまでの周波数範囲であれば簡単なのですが・・・。もう少し勉強が必要です。
バッファ
バッファには FET Bufferのページに
載せたものを使用。出力インピーダンスは 75Ωとしています。
輻射対策
電源コードからも電波として輻射されてしまいます。電源トランス一次側のフィルターは必須です。
飛びつきがあるとレベルが変動し調整が面倒。
アッテネータ
図の回路で次の式が成立しなければなりません。
75=R2//(R1 + R2' ) 但し R2' =R2//75
2A=R2' /(R1 + R2' ) 但し A=E2/E1
これらの式から R1・R2を求めます。
例えば 20dB (E2/E1=1/10)では R1=180、R2=112.5となります。因みに 180//300でジャスト 112.5と
なります。
出力レベルはダイオード整流し、測定可能な周波数の発振器のレベルと比較します。
PINダイオードを制御し出力レベルをフラットにする方法も考えられますが、FM受信機の一生で
一回か二回しか使わないものにそこまでする必要もないでしょう。アッテネータで必要なレベルに落とせれば
十分。
RF回路の調整は数十年ぶりのため調整ドライバがありません。実家に置いてきたがまだあるかどうか。
そこで模型店より 5m/mのプラ棒を購入し適当なヤスリで加工。マイナスであればものの数分で出来て
しまいます。硬くも無く柔らかくも無く加工性抜群。六角は細いため簡単ではありませんが、百円ショップで
小型の万力 (万力という商品名かどうか忘れた) を購入して時間のあるときにヤスリます。
プラ棒は 40cmで 1本 50円。2本購入してくれば様々なサイズのコア調整ドライバが作れます。
FM受信機 RF部調整
古い受信機の場合、セットによっては少しずれていると思います。調整することにより感度は上がり
ますが、SIGNAL LEVEL表示の LEDが全部点灯しているような強電界地区や、ケーブルテレビ回線を使用
している場合には調整しなくとも問題はないでしょう。トラッキングを取ったところで歪率が向上する
わけでもありません。当方の場合、ほぼ完全にトラッキングを取った KT-1010Uと、全くトラッキング
調整をしていない KT-1010では、KT-1010の SIGNAL LEVEL表示が 3の時 KT-1010Uは 5となっています。
調整する場合には、まず正確な周波数を入力して基準周波数を合わせます。調整でこれが一番重要です。
次に局発部の L・Cにより 76MHz・90MHzのバリキャップ制御直流電圧を合わせます。2〜3回繰り返し
て合わせます。これは信号を入力しなくとも行うことが出来ます。
その後、76〜78MHz間の適当な周波数の信号を入力するか、弱電界の FM放送波で最大感度になるように
増幅段及び局発バッファの Lを調整します。同様に 88〜90MHz間で増幅段及び局発バッファのトリマーを
調整します。これも 2〜3回繰り返します。
最後に Mixer出力の IFTを最大感度になるように調整して終わりです。
秋月 FMステレオトランスミッタキット
当初、有効に使えないものかと約 20年ほど前に製作したものを引っ張り出してみましたが、駄目でした。
セパレーションが悪すぎる。ICのセパレーションが 25dBですから仕方ありませんね。X'talを使用しています
ので、19KHzのパイロット信号キャンセルの調整には使えます。
当然のことながら JRCの推奨回路を使用しています。秋月のキットの回路のままでは使えません。
オーディオ信号に方形波を入れるバカがいるかということですね。秋月のキットのままではパイロット
信号の調整にも使えませんので念のため。
他のページでも書きましたが秋月のキットはオモチャです。そのままでは全く使えないと言って良い
でしょう。少し改造する技術・意欲の無い者は、秋月のキットに実用に耐える性能を期待してはいけません。
秋月ではメーカー等で不要となった部品を安く買い取り、ド素人のお子様をターゲットにキットとして
販売しているのです。良いものを安くというよりは寧ろ・・・。
JRCの推奨回路は実に良く出来ています。レベルもうまく処理されており、なるほどと唸らせるものです。
出力調整 VRに接続された TRのエミッタ入力抵抗を利用して、パイロット信号のレベル調整を行うなど
通常は考えませんね (そのためパイロット信号に少し歪が生じます。問題と言えばそれが問題)。
少ない部品点数で ICの性能を引き出しており、さすがに本 ICを作ったメーカーといったところです。
このような回路ですので調整は重要です。共振回路の同調点は完全に合わせなくてはなりません。
パイロット信号の共振回路の同調点がずれていればステレオにならない恐れもありますし、38KHzの
スイッチングパルスとパイロット信号の位相が大きくずれ、セパレーションが滅茶苦茶になって
しまいます。例えば右側しか信号を入れていないのに、左側からもほぼ同じ大きさで聞こえるという
ことになるでしょう。
本器では共振回路の同調容量 4700PFに対し約 80PFのトリマーをいれていますが、トリマーを少しでも
動かすと位相は大きくずれます。なお JRCの推奨回路を使用するため、JRCの回路図通りに部品を集めて
いるバカもいるようですが、20mHと 4700PFでは 19KHzに共振しません。ちょっと計算すればすぐ分かる
ことですね (共振周波数の計算は電気回路の初歩の初歩)。JRCの推奨回路では可変タイプのインダクタを
使用しているから良いのですが、当方はこの大きさのインダクタで可変タイプは見たことがありません。
まあ結論として、それなりの技術力が無い輩はオモチャのままで遊ぶことですね (技術力を真に向上
させようと頑張っている人は別ですが、その場合共振周波数の計算位は常識として理解している必要が
あります)。
推奨回路では 57KHz LPFとなっていますが、トラップ周波数は 114KHzです。19KHzの 3次高調波 57KHzを
減衰させようとすれば、23KHz〜53KHzの差信号も一部減衰してしまいます。和信号と差信号の伝送経路の
周波数特性に差があるとクロストークが悪化します。通常の使用方法では最もレベルが高いと思われる、
38KHzの 3次高調波 114KHzを減衰させていますので、フィルターのトラップ周波数も 114KHzに合わせなければ
なりません。良好な L・Cを使用することにより 60dB以上の減衰量が得られます。
送信部は歪が大きい。そんなこと言ったってラジカセ等で何とか聞ければ良いじゃないか、と
秋月は言うかも知れません。でもラジカセで聞くならわざわざステレオにする必要もないでしょう。
電池 1本では歪が大きいため 2本としています (モジュレータ部は別電池)。しかしリアクタンス
トランジスタのコレクタ電圧は低い方が変調歪は少ないようです。入力部に分圧抵抗を設けて
レベルを調整。あとどこか定数を変えたかな? 忘れた。結果 FM受信機を通して 1KHzモノラルで
1%程度の歪率が得られています。この歪率ではクラシックは無理ですがそれ以外は何とか聞くことが
出来ます。
秋月は金があるので机の上には高価な測定器が並んでいるのでしょう。もう少し良いものを作って欲しい
ですね。例えば直線性が良いバリキャップを特注して使うとか・・・そこまでは無理か。
搬端 (民生用ではありません)から取り外した 4.7mHのインダクタ、真に良いものを作りたいという奇特な
方がいればお分けします。直流抵抗 11,5Ω程度と Qの高いものですが、秋月のキットを作って出来た出来たと
喜んでいるレベルのお子様には無用のものです。サイズ約 9.3φ x 12mm。
FMモノラルトランスミッタ
使えるユニバーサル基板はないかと漁っていたら、昔々製作した FMモノラルトランスミッタを見つけ
ました。モノラルですから秋月のキットを購入する前に製作したものかも知れません。
構成は 2SC1775による増幅、2SC2901による 6MHzセラミック発振・5逓倍と、ft 3.5GHzの 2SC2408による
3逓倍となっています。変調はバリキャップ FC54Mの制御電圧に重畳しています。バリキャップは高い
Q領域で使用したいのですが、この領域では 2次高調波により変調歪が増大します。変調歪低減の
ためには周波数変化が直線に近い領域で使用しなければなりません。難しい問題です。
今回ステレオでも使えるように初段をエミッタフォロワに改造。エミッタフォロワは出力インピーダンスが
低いため発振回路のバリキャップ制御には最適。出力インピーダンスの高い回路で十分な周波数特性を
確保するのは難しい。ステレオ信号ではバリキャップ制御電圧は 53KHzまでフラットでなければなりません。
エミッタフォロワに変えたことにより入力感度は悪くなりましたが、これは歪率や S/Nの点で有利です。
なにしろ基板上の僅か数センチのところから高周波が飛び出しているのですから。増幅出来ないような
高い周波数でもバイアスを変動させたりして、音質に悪影響を及ぼします。
本器では、Qを犠牲にしてバリキャップ制御直流電圧は変調歪が小さい領域に合わせています。
現状で KT-1010・KT-1010Uとも MONO WIDE MODE、出力 0.5V 1KHzにて 0.02%、100Hzにて 0.022%
という歪率が得られています。これはトランスミッタの歪率が 0.02%・0.022%で、KT-1010・KT-1010U
の歪率はこれより低いことを示しています。何度か調整してみましたがこれ以下の歪率は無理なようです。
あとはバリキャップを変えてみるしかありません。
この歪率ではクラシックも十分に聞くことが出来ます。電波 (空気) を介して 0.02%ですよ、
0.02%。単純なアンプでさえ、これより歪率の悪いものしか作れないバカも多いのですから困った
ものです。
歪成分は、100Hz・1KHzで 3次高調波のレベルか大きいのに対し、10KHzでは 2次高調波のレベルが
高く歪率も悪くなります。これはバリキャップが早いシグナル変化に対応出来ないのではないかと
考えています。5KHz程度のレスポンスがあれば十分な、ワイヤレスマイクのような用途であれば
AFC用でも TUN用でも何でも良いのですが、このような用途では変調用でないと駄目かも知れません。
変調用のバリキャップは需要が少ないせいか入手が難しい。ただこれは KT-1010・KT-1010Uの
10KHzにおける歪率を無視していますので、トランスミッタだけの問題ではない可能性もあります。
400Hzや 1KHzで良好な歪率の受信機も 10KHzの歪率は大きく悪化します。
変調感度は搬送波周波数 89.7MHzにて約 0.65Vピークの信号で 100%変調となっています。
調整は難しい。発振周波数はバリキャップ制御直流電圧だけでなく、同調回路の共振周波数によっても
大きく変わってきます。100KHzステップのシンセサイザー式受信機では、ステップ周波数からずれると
歪率が大きく悪化しますので、バリキャップ制御直流電圧・付加する並列容量・同調回路の共振周波数は、
発振 (出力) 周波数・歪率を見ながら調整することになります。まあこの程度の調整は、メーカーでは
当たり前のこととしてやっていることであり、出来なければバカガキのオモチャで甘んじるしかありません。
なお逓倍を 2段で行っている場合、周波数カウンタやオシロが必要です。なければ調整はまず無理
で、暗い夜道で懐中電灯も無しに落とした硬貨を探すようなものです。
テストに使用した CD専用プリエンファシス回路です。CDと同じダイナミックレンジ、CDから直接メイン
アンプに入れた場合とほとんど変わらない音質で聞くことが出来ます。これを聞くと FM放送がいかに
ダイナミックレンジ (特に高域の) を圧縮しているかが分かります。演奏会場生中継にしろ、CD再生
にしろ元のソースとはかなり異なったものを受信するのに、全盛時販売されていた 10万を超えるような
高価な FM受信機は、はたしてどの程度の価値があるのだろうかとふと思ったりします。
この回路単体での歪率は 10KHz 0.5V出力にて 0.004%となっています。どこまでも澄み切った音を
出してくれます。途中からマイラーに代えスチコンを使用していますが良い音です。
なおオペアンプの増幅度は、ほぼ正確なプリエンファシス特性が得られている場合のもので、当方が
所持している CDで最も出力レベルが高いものに合わせています。入力 VRはありません。FM放送の
家屋内再放送に使用することも出来ます。
FM受信機 MONO NARROW/WIDE時の DISTORTION調整
歪率計をつなぐことにより FM受信機モノラル時の DISTORTION調整をすることができます。
FM DETECTOR部の DISTORTION調整が先ですが、こちらはずれていないと思われます。
古い受信機の場合、WIDEではあまりずれていなくとも、NARROWではかなりずれていることが多い
でしょう。
ーん、DISTORTION調整の付いていない FM受信機もあるかな ?。
基準周波数の調整
DISTORTION調整をする場合、その前に必ずしておかなければならいのが基準周波数の調整です。
これは本来一番最初にするべき事項で、調整で最も重要です。TC9147BPは Test Pinを Highに
すると 24Pinから 25KHzが出力されますが、これで合わせてはいけません。通常の周波数
カウンターは分解能 0.1Hzでそれ以下は分かりませんが、90MHz受信時 (局発周波数 79.3MHz)
には基準周波数の誤差が 3172倍もされてしまうからです。0.1Hzずれていれば局発周波数は
317Hzもずれてしまいます。0.5Hzずれていれば 1.58KHz。
基準周波数を調整するには、入力に正確な周波数を加え中間周波数が 10.700000MHzに
なるように合わせなければなりません。正確な発振器が無ければ国営放送 FM部門の電波を
利用することも出来ます。変調されていますが10Hz程度の精度で調整できるでしょう。但し正確な
カウンターは必要です。
基準周波数がずれていると WIDEと NARROWで歪率が大きく異なるという問題が生じてきます。
WIDE時に比べ NARROW時歪率が少し悪くなるのは仕方ないのですが、基準周波数がずれていると
WIDE時に比べ歪率は大きく悪化します。また NARROW時 MUTING動作がおかしくなったり、
PILOT CANCELLの調整がなかなか出来ないといった問題も生じてきます。
この項の文章のみならず、内容の流用も不可。