FREQUENCY COUNTER







当方の HP の内容を流用して雑誌やインターネットに発表しようとするときは、
当方の許可を得るとともに出所を明らかにしなければなりません。
この注意事項の記載が無いときに流用した者は、速やかに当方の許可を得るか、
該当 HP等を削除しなければなりません。








ケースはタカチ US-200H を使用。





発泡スチロールで覆われているのが恒温槽。
左のケースはプリスケーラ部。


消費電力 (表示 000)  OVEN ON  11.2[W]
               OVEN OFF  4.7[W]






      キンセキカタログによる 


 通常の X'tal を使用した発振回路の周波数安定度は良いでしょうか、悪いでしょうか ? 答えは極めて一般 的ですが、用途によっては十分過ぎる程の安定度を持っているし、用途によってはそのままでは全く使用に 耐えないということです。秋月電子の LED表示周波数カウンタキットを製作した方は周波数漂動に驚かれた 方も多いと思います。上図左はキンセキのカタログに載っている HC-49Uの温度特性です。+の温度係数で 点線のようなタイプ ( THERMO CONTROLER の 8.000MHz X'tal の測定例 ) の X'talであれば、通常使用温 度範囲ならそのままでも使用可能と思いますが、他の温度依存傾向のものでは周波数カウンタのような基準 周波数としての用途にはそのままでは全く使えないと言っても良いでしょう。通常通販で入手可能なのは、 +の温度係数では実線のタイプ、−の温度係数では点線のタイプのものが殆どのようです。現在地方に住ん でおりますので、秋葉原で温度係数を指定して購入出来るのかどうかは不明です。
 +の温度係数で実線のタイプのものは、可変容量素子で温度補償するしかないと思いますが、調整が難しい と思われます。可変容量素子で温度補償した水晶発振器が製品としてあるわけですが、これらの水晶発振器 はもともと温度係数の良好な X'talを使用し、更に可変容量素子で補償しているものと思われます。因み に、私が購入した秋月電子のキットに付いてきたのはこのタイプの X'talでした。
 −の温度係数で点線のタイプのものは、恒温槽を使用する方法と可変容量素子で補償する方法が考えられま す。恒温槽を使用する方法では、それ程難しい調整も要らず比較的簡単に高安定度を実現することが出来ま す。
 上図右はこのカウンタで使用している X'talと同じもの ( 3個購入し最も良好なものを使用 ) を測定した ものです。 62℃〜65℃迄完全にフラットになっています ( カウンタの分解能は 1SEC )。従って X'talを 恒温槽で 63℃〜64℃に保持すれば、外部温度の変化に恒温槽の内部温度が追従出来ず恒温槽の内部温度に 1〜2℃の温度変化が生じたとしても、殆ど影響を受けず安定な発振周波数を維持することが出来ます。



回路図

 温度検出にはダイオードを使用しています。ある決まった温度の検出には直線性は必要ありませんから、 安価なダイオードが使用出来ます。このダイオードに TR1 2SK30Aにより定電流を流し、その端子電圧と TL431C による設定電圧をコンパレータ LM311Nで比較して、発熱素子である FETの制御を行っています。 FETの電流は温度により大きく変動しますので、ダイオードによる検出電圧を利用しコンパレータの出力電圧を制 御しています。このようにすることにより、本器では室温から設定温度迄ほぼ一定の 500mAの電流を流して います。従って FETの損失は 5Wということになります。発泡スチロールを接着剤で固定した為、FETの 型番が分からなくなりました。そのうち恒温槽を開くことがあれば記載します。尚、恒温槽は市販の最も小 型のアルミケースを加工して更に小さくして使用しています。
 発振回路は 74HCU04による通常の回路ですが、コンデンサは当然のことながら温度係数 0 のものを使用し ます。−の大きな温度係数のコンデンサ ( 経験的に無印のコンデンサは、温度補償タイプの最大の温度係数 、即ち -750PPMからリミットの -1000PPMの間のものが多いようです ) を使用した場合、発振周波数の平 坦部が現れる温度は下がりますが、平坦部の温度範囲は狭くなります。それと発振周波数微調用 ( 調整 用ではない ) のトリマーコンデンサの挿入場所ですが、私は全てインバータの出力側に入れています。通常 ( というよりも全て ) インバータの入力側に入れているようですが、入力側に入れた場合トリマーコンデン サの容量の変動が発振周波数に与える影響は、出力側に入れた場合に比べ何倍にも大きくなります。このよ うな特性がある故に入力側に入れていると思われますが、このことは裏返せば発振周波数の安定度が悪くな るということでもあります。安定なエアートリマコンデンサでも使うことが出来れば別ですが、通常は温 度係数がどの程度なのかも分からない、構造も不安定なトリマコンデンサを使っているのが実情です。従っ て発振周波数の安定度を上げるためには、固定コンデンサでぎりぎりまで合わせ、それでも合わせきれない ところをインバータの出力側に入れた小容量のトリマコンデンサで合わせるべきでしょう。本器では更にタ イトタイプのトリマーコンデンサを使用しています。X'talだけでなく発振回路基板をそのまま恒温槽の中 に入れていますが、74HCの最大動作温度 85℃に対し 20℃以上の余裕がありますので問題無いと思われます。

 本器は製作してから 5〜6年経っていると思いますが ( コネクターの色を見れば分かる ? ) 、今回確認し てみたところ 1Hzもずれていませんでした。キットそのままでは正確な周波数測定は無理ですが、少しの 労力により業務用測定器メーカー製の高価な測定機にも負けない安定度を得ることが出来ます。

MAY 1999

 



TCXOの周波数安定度

 ド素人やプログラミングしか分からない輩の間に、TCXO (Temperature Compensated X'tal Oscillator) を使えば発振周波数の安定度に関する問題は全て解決するというような考えがあります。また基準周波数に TCXOを使用して周波数カウンターだといって得々としている輩もいるようです。
 はたして TCXOは基準周波数としての用途に十分な安定度を持っているのでしょうか。
 手元にいくつか実物があります。その特性表を見てみましょう。

 KSSの TCXO-50Cと NDKの NJC3058Aで出力周波数 12.8MHz。温度特性 ±3ppm/-20〜+60℃、エージング特性 ±1ppm/年となっています。
 ±3ppmを +3ppmから -3ppmと理解すれば、"温度が -20〜+60℃の範囲内では、出力周波数が 最大で 76.8Hz変わっても異常ではありません。クレームは付けないで下さいね"、ということなのです。
 同じようにエージング特性 ±1ppm/年は、1年使用した場合、同じ温度で出力周波数が最大 25.6Hz変化 しても異常ではありませんよ、ということなのです。

 まあこれは最大値で実際はこれより小さいと思われますが、実際はどの程度の安定度を持っており、 基準周波数としての用途にも使えるものかどうか測定してみましょう。

実測


 TCXO-50Cです。メーカーで公表しているかどうか分かりませんが、この製品のメーカー以外から実測の 温度特性が発表されるのは初めてのことと思います。
 20℃から 30℃で 16Hz、15℃から 35℃では 27Hzも変わっています。X'talのメーカーがやっても この程度なのですから、いかに温度補償は難しいかということですね。
 僅かな発熱でもセット内温度はすぐに 10℃位上昇していまいます。 ド素人はともかく、これだけ 変動したら当方では基準周波数としての用途には使えません。周波数カウンターは周波数を測定するための 機器であり、測定周波数の確度が命だからです。
 手持ちの業務用測定器専門メーカーの周波数カウンターも、当方作成の周波数カウンターも、夏冬空調を かけなくとも表示は変わりません。 (^^♪

 興味深いことは、通常 60℃程度で数十分エージングするとエージング前と特性が変わるものですが、 TCXOは全く変わりません。メーカーで十分エージングしているものと思われます。
 発振周波数に通常の安定度を要求される用途には使用可能ですが、基準周波数としての用途には 無理でしょう。

20th Nov 2008










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