極めて低抵抗の領域ですので ESR の測定は難しい。
ですが、測定データの精度は高くなければなりません。所謂 "アマチュアデータ" ではデータを
発表した場合、メーカーからクレームが来る恐れもあります。メーカーからクレームが来たらその時は
削除すれば良い、それよりもレベルの低い "お友達" 同士の間でうまくやる方が大切、のような無責任な
データではいけません。
本器では、接続端子の抵抗により 10mA 測定時約 0.002Ω (2mΩ) 高く表示されます。接続端子を
使わなければ良いのですが実用的ではありません。しかし 2mΩ 程度は接続端子のネジの締め方によっても
変わってきます。これを考慮しても測定データは極めて正確で、メーカーからクレームは付けられないものと
自負しています。
基板サイズ 95 x 72mm 1.6t 35μ ガラエポ
電源電圧 安定化 ±15V
消費電流 約 12mA (定電流回路は除く)
同じ容量の(容量値が近い)電解コンデンサが何種類かある時、出来るだけ ESR (Equivalent Series
Resistance)の小さい電解コンデンサを
使用したい場合があります。 使用する部位によっては、ESR の大きい電解コンデンサでは所望する性能が
得られないからです。ESR の大きい電解コンデンサをバイパスに使用してもかなりの大きさの電圧が残っ
てしまいます。この電圧が前の方の回路に回り込み、最悪の場合には発振、発振まで至らなくても動作が
不安定になったりする場合もあります。
以前良くテレビの修理をしていた時に、電源の整流ダイオードにセラミックコンデンサをパラに抱かせて
スパイクノイズを吸収しているのが目に付いたものです。自作機器でも平滑された電圧をオシロで見てみると
スパイクノイズが乗っていることがあります。このスパイクノイズが ESR の小さい平滑コンデンサを
使用することによりオシロでは観測されなくなるのです。
ESR の相対的な大きさを簡単に調べる方法として、矩形波とオシロを使った方法が雑誌に紹介されたことが
あるのですが、この方法では同じ容量値の場合には、こちらの方が ESR が大きいこちらの方が小さいと
単純に比較できるのですが、容量が異なる場合にはオシロの感度を変えなければならず比較は面倒です。
またこの方法でおおよその ESR の値を知ることも不可能ではありませんが、同じ容量値でほぼ ESR が 0 の
コンデンサを用意する必要がある等実用的ではありません。
本器では ESR の値を簡単に測定することができます。通常の電解コンデンサでは形状の小さいものの方が
一般的に ESR が大きいという常識の確認の他、へーこんなこともあるんだと言うような興味深いことも
分かります。
ド素人に毛の生えた程度の連中にとっては ESR なんてどうでも良いこと、それ以前にそもそも ESR って
何 ?と言うかも知れませんね。
しかしある程度良い物を作れるようになった人は ESR の重要性を理解していると思います。
回路図
回路図をそのまま載せようかとも考えたのですが、勿体ないのでブロックダイヤグラムといたします。
ブロックダイヤグラムだけでは真似出来ません。(^^♪
設計に相当のノウハウが必要であり、不具合個所の修正にも多くのノウハウと多大なエネルギーを要します。
ヤフオクで企業放出の測定器を買って喜んでいるような、簡単な電源でさえまともなものは作れないので
中古を買うしかないような、そんなバカでも出来るようなものなら、回路図をそのまま載せても良い
のですがね。
簡単な説明
10KHz OSC
周波数の精度、歪率ともそこそこのもので良いが、出力電圧は安定していた方が良いのは言うまでもない。
10KHz だと 10mA(1KHz では 1mA) にてぎりぎり 2.2μF から測定可能です。
定電流回路
10KHz 10mA の負荷電流で位相回転 0、100KHz でも位相回転はごく僅かです。10KHz で位相回転のないもの
でなければなりません。
40dB 増幅
ノイズレベルが低く、10KHz で位相回転のないものでなければなりません。本器では 10KHz で位相回転 0 、
100KHz で約 10度の遅れとなっています。
矩形波発生
10KHz で位相回転のないものでなければなりません。従ってオペアンプでは無理で、専用のコンパレータが
必要となります。
位相検波
スイッチングには MAXIM の高速アナログスイッチ DG403 を使用。4053 等のアナログマルチプレクサとは
比べものにならない性能を持っています。ON 抵抗は±15V 動作時実測約 16Ωで、良くバランスがとれています。
MC14053BCP では±5V 時実測約 98Ω、±8V 時約 71Ωですが A→Out、B→Out でON 抵抗が少し異なるのが
気になります。他人の製作したものをフルコピーするしかない人向けでしょう。出力は直流となりますので
オペアンプはオフセットが小さく、オフセット安定度が良好なものでなければなりません。
0/20dB 増幅
直流増幅ですのでオフセットが小さく、オフセット安定度が良好なものでなければなりません。OPA177GP
を使用。
レンジ自動切換
出力 0.2V (ESR 0.2Ω) で 0/20dB 増幅部の増幅度を自動で切り換えています。切換には安価な
MC14053BCP を使用。約 1mV のヒステリシスを持たせています。レンジ自動切換はアマチュアレベルでは
日本初でしょうね。
調整・校正
ESR は温度によって大きく変わり、比較的 ESR の安定している OS コンでも測定中は最下位桁が
フラフラ変動していますので、あまり誤差を気にしても仕方ないのですが各段のオフセットは 0 に
合わせなければなりません。校正は誤差1%の金属皮膜抵抗を使用。
有効桁数
有効桁数はコンデンサにより異なります。安定しているコンデンサでは4桁つまり 0.XXXXΩとか X.XXXΩ、
安定していないコンデンサの場合3桁即ち 0.XXXΩ とか X.XXΩといった具合です。コンデンサの代わりに
金属皮膜抵抗を接続した場合は、当然のことながら表示は安定しています。
極めて低抵抗の領域ですので、測定コンデンサのリード線や接続するための線の抵抗の影響がモロに出てきます。
接続に十分な太さの線を使用しているつもりでも、0.01Ω 程度の抵抗を持ってしまいます。
これらを十分考慮しなければなりません。