富士通ゼネラル BST-300




 これは少し複雑で、3年ほど前、長年使ってきた自室のBSチューナー BST- 300(当然新品購入。居間はデジタルですが・・・。でもいいのです。どうせ土・日 の午前中メジャーリーグの試合を見る位ですから)のICが駄目になってしまい、 富士通ゼネラルのパーツセンターに問い合わせたところ、共用部品ならあるが 専用部品は殆んどなしとのことで、修理はあきらめ、ヤフーオークションより 購入した同型機を修理したものです。完動品ということだったのですが、到着後 すぐに確認したところ映像は問題ないものの、音声が全く出ませんでした。その旨 メールし代金を返還してもらいました。専用ICでも悪ければ修理不能となるわけ ですから仕方ありません。到着後すぐに確認できる環境にあったから良いものの、 さもなくば、発送時は異常なかったと逃げられたかも知れません。
 嘘は良くないのですが、この機種に関しては分かりもしないのに内部をいたずらする 出品者よりはましかも知れません。
 またオークションには、動作しないことを知っていながら、“チェックする 環境がないので電源が入ることしか確認していません。ノークレームで・・・。” などといって高値で売り抜けようとする輩が非常に多いことにも気を付けなけ ればなりません。




 富士通ゼネラルが回路図をFAXで送ってくれたのですが、A4の用紙で7枚にもなります。 その内の1枚の一部、D/Aコンバータ、LPF、音声増幅、音声信号制御部の回路図です。


 片チャンネル・1系統のみ説明します。
 D/AコンバータIC923(PCM-56PJ)によりアナログに変換された信号は、LPFを通り、IC921(NJM5532DD) に加えられます。PCM-56PJ、懐かしいですね。オペアンプNJM5532DDにより2倍増幅され、出力に パラになった音声MUTE用TR、Q921(2SC2712GR)により制御され出力されています。アナログ出力は2系統ですが、 信号増幅に別々のオペアンプを使用しています。さすがBST-300です。これは左右チャンネルで 1つの、デュアルパッケージのオペアンプを使う方法に比べ、当然のことながらクロストークの 面で有利です。IC901(NJM4558DA)はUHF信号出力用の左右チャンネル混合に使用されています。

 3年も前に修理済みのもの故、このような余裕を持った書き方が出来るのですが、修理途中では とてもこのような文章は書けませんね。

 各部を調べ、オペアンプNJM5532DDの出力までは正常であることを確認しました。残るは、音声MUTE 用のQ921(2SC2712GR)の不良か、コネクターJ911の4番ピンより入力されているQ921制御電圧の 異常ということになります。しかしながら2SC2712GRが4本とも不良になることはありえないので、 原因は制御電圧の異常ということになります。ところが回路図には正常時の制御電圧の記載もなく、 どちらがコレクタかエミッタかも図面では分からない状態です。まあこれは常識的にわかるのですが。 修理をしたいとなればこのような図面しかなくてもしなければなりません。簡単ではないのです。



 電源部及びMUTE電圧発生部の回路図です。
 MUTE電圧発生部のコネクター部が用紙外で見づらいので、分かりやすく書き出したのが次の図です。


 この回路の動作としては、電源スイッチ投入後C552の電圧が上昇してQ550がONになるまでの間、 全てのTRがOFFとなります。従ってPOWER MUTE TO PCM ANA MUTEには、D509・D501で整流C513で 平滑された+の電圧がほぼそのまま出てきます。POWER MUTE TO PCM ANA MUTEは音声MUTE TR Q921のベースに接続されいるため、電源スイッチ投入後C552の電圧が上昇してQ550がONになる までの間、音声はMUTEされます。ところがPOWER MUTE TO PCM ANA MUTEの電圧を測ってみると、 いつまで経っても電圧が低くなりません。すなわちMUTEがかかりぱなしだったわけです。 そこでC513の電圧を測ってみると、トランスの巻き線電圧に見合った電圧が出ていない。 オシロで見てみると殆んど平滑されていないということで、C513の異常と判断し、外してみると 完全に容量抜けしていました。液漏れはしておらず、頭部も膨らんでいないため外観からは 異常は見られません。経験上液漏れは、電解コンデンサが高温にさらされている場合が多く、 高リップル電流による劣化の場合は液漏れはしないことが多いようです。高温のため電解液 が膨張して出てくるということですね。
 C513の電圧が上がら ないため、C552の電圧がQ550をONにするまで上昇せず、MUTEがかかりぱなしだったというわけです。
 なお、C552が容量抜けした場合は、MUTEがかからず電源スイッチON時等ノイズが出てきます。 また富士通ゼネラルの回路図ではD502となっていますが、基板の印刷はD501となっています。



- SEP 19th 2004 -








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